岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所  

岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所(所長 弁護士黒田 彬)

>
岡山弁護士会の西村綜合法律事務所(西村・一法師)を懲戒しない旨の決定書

お 

 

 

サギ広告を告発した弁護士黒田彬に対する岡山弁護士会の決定書

       

 

     岡山弁護士会は,令和元年11月8日,西村啓聡からの請求に基づき,弁護士黒田

     彬を懲戒委員会の審査に付す旨の決定をいたしました。

     西村の弁護士黒田彬に対する岡山弁護士会への懲戒請求は,弁護士法人西村綜合法

    律事務所が,「津山の弁護士による交通事故・後遺障害相談(西村綜合法律事務所)

     」と題するインターネット上のサイトにおいて,同事務所が,交通事故の示談交渉に

    ついて,「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を

     有すると宣伝し,「最新」の「解決事例」として7件の事件を表示していたが,真

     実には,7件のうち同事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した岡山県北

     の事件は3件にすぎず,4件の事件は同事務所所属の弁護士一法師拓也が同事務所に

     所属する以前に東京の法律事務所に在籍していた時期に関与した事件であったため,

     弁護士黒田彬が同サイトの広告を悪質なサギ広告と判断し,岡山弁護士会に対し弁護

  士法人西村綜合法律事務所及び弁護士西村啓聡・一法師拓也の懲戒処分を請求したの

      に対し,西村啓聡が対抗的に弁護士黒田彬の懲戒処分を岡山弁護士会に対し請求して

     いたものです。

      岡山弁護士会は,弁護士会黒田彬からの弁護士法人西村綜合法律事務所及び弁護士

     西村啓聡・一法師拓也の懲戒処分の請求については懲戒に付さない旨の不当な決定を

     なしており,これに対して弁護士黒田彬は日本弁護士連合会に異議を申し出ておりま

     すが,今回も岡山弁護士会綱紀委員会は,「西村綜合法律事務所やその所属弁護士が

     全く関与していない事例を取り扱い事例として広告した場合には,「サギ広告」の評

     価を受け得るが,所属弁護士が関与した事例である以上,弁護士法人及び所属弁護士

     の取扱業務の事例を説明したものといううことができ,「サギ広告」との評価をすべ

     ものとは解されない。」として,西村綜合法律事務所の広告を「サギ広告」として告発

     した弁護士黒田彬の行為は弁護士としての「品位を失うべき非行」に該当するとし,

     懲戒委員会に事案の審査を求めるのを相当とする旨の議決をいたしました。

       しかし,上記の綱紀委員会の論理によれば,津山市内の工務店が,インターネット

     上の広告において,住宅建築について,「岡山県北有数の施工実績」を有すると宣伝

  し,7軒の住宅を「施工事例」として表示していたが,真実には,7軒のうち同工務 

  店が施工した岡山県北の住宅は3軒にすぎず,4軒は同工務店の従業員が東京の大手

  工務店に勤務していた時期に施工したものであっても,それを施工したのが同工務店

  の従業員である限りは「サギ広告」とは言えないことになりますが,そのようなバカ

  な論理は一般市民を納得させるものではありません。

   西村綜合法律事務所の行ったことは,上記の工務店とまったく変わらないものなの   

  であって,それが弁護士会の懲戒処分の対象とならず,かえって,それを「サギ広告」

  として告発した弁護士黒田彬の行為が「品位を失うべき非行」として懲戒処分の対象

  となるという岡山弁護士会の決定は,到底受け入れられないものであります

   したがって,弁護士黒田彬としては,上記の西村綜合法律事務所のインターネット上

  の「サギ広告」問題については,今後も徹底的に争うつもりであります。

   なお,岡山弁護士会の決定書及び綱紀委員会の議決書の全文は以下のとおりです。

 

   

    岡弁2019年(綱)第9号事案

 

決  定  書

  

      岡山県津山市椿高下45ー2

             懲戒請求者 西  村  啓  聡  

 

                岡山県津山市山北560ー4 ムサシノビル6階

             対象弁護士 黒  田     彬

                           (登録番号22632)

 

本会は,上記懲戒請求事案につき,次のとおり決定する。

 

(主 文)

 

懲戒委員会に事案の審査を求める。

 

(理 由)

 

      上記対象弁護士に対する懲戒の請求について,綱紀委員会に事案の調査を求

     めたところ,同委員会が別紙のとおり議決したので,弁護士法第58条第3項

      の規定により,主文のとおり決定する。

 

            2019年11月8日

      

                             岡山弁護士会

                              会長 小 林 裕 彦

 

 

 

     岡弁2019年(綱)第9号

 

議  決  書

 

                  岡山県津山市椿高下45番地2

                   懲戒請求者  西  村  啓  聡

                    

                  岡山県津山市山北560番地4

                   ムサシノビル6階 津山総合法律事務所

                   岡山弁護士会所属弁護士

                   対象弁護士  黒  田     彬

 

                    主 文

    対象弁護士につき,懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認める。

                    理 由

    第1 懲戒請求事由の要旨

     1 ウェブサイト記事及び書面による名誉毀損・業務妨害

      ⑴ 対象弁護士が開設するウェブサイト上での名誉棄損・業務妨害

        対象弁護士は,平成31年3月15日,津山総合法律事務所のウエブサイ

       トに「2019/03/11弁護士法人西村綜合法律事務所のインターネッ

       ト上のサギ広告について,西村拝啓・一法師拓也の両名を岡山地方検察庁津

       山支部に刑事告発」と投稿した。対象弁護護士は,「2019/03/11弁

       弁護士法人西村綜合法律事務所の悪質なインターネット上のサギ広告につい  

       て,岡山弁護士会に同弁護士法人及び弁護士西村啓聡・一法師拓也の懲戒処

       分を請求」と投稿し,併せて懲戒請求書及び主張書面(3月22日付,4月

       8日付)を掲載した。

      ⑵ 津山市内の法律事務所に書面を送付した名誉棄損・業務妨害

        対象弁護士は,津山市内の複数の弁護士事務所に対しても上記懲戒請求書

       の写しを送付した。その際,送付状には「当職は,この度,弁護士法人西村

       綜合法律事務所のインターネット上のサギ広告について,西村啓聡及び一法

       師拓也の両名を不正競争防止法違反で岡山地方検察庁津山支部に刑事告発す

       るとともに,両名及び弁護士法人西村綜合法律事務所の懲戒請求を岡山弁護

       会に申し立てましたのでご報告いたします」と記載した。

                 ⑶ 弁護士法人西村綜合法律事務所(以下「西村綜合法律事務所」という。)の

       顧問先に書面を送付してした名誉棄損・業務妨害

        対象弁護士は,西村綜合法律事務所の複数の顧問先に対して,「西村啓聡及

       び一法師の両弁護士につき,以前より弁護士の職業倫理に反する振る舞いが目

       に余るものであったところ,この度,同弁護士法人がインターネット上でサギ

       広告を常習的に行っている事実が明らかになった。」「当職は,西村や一法

       師のごとき,弁護士でありながら,サギ師同然の行為を行って恥じることの

       ない輩を放置することは,津山の弁護士の信用と秩序を害するものと考え,

       西村及び一法師を刑事告発した事実については各方面に通知済みでありまふ    

       す」と記載された送付状とともに懲戒請求書を送付した。 

       上記各行為は,懲戒請求者の名誉を毀損し,業務を妨害したものである。

     2 ウェブサイトへの判決の実名表示及び懲戒請求者の依頼者との直接交渉

      ⑴ 対象弁護士は,懲戒請求者が原告代理人を,対象弁護士が被告代理人を受

       任した請負代金請求の民事訴訟において,一審判決が出た後,対象弁護士の

       ウェブサイトに「株式会社山本工務店の工事の瑕疵・工事費用の水増しを認

       定」と懲戒請求者の依頼者の実名を掲示し,その行為を「水増し」と摘示して

       ,その名誉を毀損した。

      ⑵ 前記⑴の訴訟は控訴審,上告審と進み,対象弁護士の依頼者が50万円の

       支払義務を負うことを確定したが,対象弁護士は,懲戒請求者の依頼者に対

       して,直接書面を送付して,請負代金の請求等の措置に出ることを控えるよ

       う申し入れた。

        これは,弁護士としての品位を害する不当な行為である。

     3 損害賠償請求訴訟提起と誹謗中傷

      ⑴ 対象弁護士は,平成26年12月20日,対象弁護士が原告代理人となり,

       懲戒請求者を被告として損害賠償請求訴訟を提起したが,これは,対象弁護士

       による懲戒請求者に対する業務妨害である。

      ⑵ 前記⑴の訴訟の準備書面においては,懲戒請求者に対して,訴訟と無関係な

       誹謗中傷をしたことは,悪質な名誉棄損であると同時に,弁護士としての品

       位を欠く行為である。

    第2 対象弁護士の弁明の要旨

     1 懲戒請求事由1について

      ⑴ ウェブサイトに投稿した目的は,一般市民に対し,西村綜合法律事務所の

       インターネット上のサギ広告に勧誘されないように警告するためであって,

       もっぱら公益を図ることにあった。したがって,対象弁護士の行為は摘示し

       た事実が真実である限り,それにより懲戒請求者及び一法師拓也弁護士(

       以下「一法師」という。)の社会的評価が低下しても,違法性は阻却される

       正当な行為である。

        対象弁護士が摘示した事実の核心は,懲戒請求者が,一法師が前に勤務

       した東京の法律事務所で手がけた交通事故損害賠償請求事件4件の成果を最 

       新の解決事例として表示し,あたかも自己の法律事務所の成果のように表示

       して,事務所の実績を水増ししたことである。

      ⑵ 津山市内の弁護士に書面を送付したのは,こそこそ行動するのではなく,

       何を問題にしているのかを知らせた方が良いと考えたからである。

      ⑶ 顧問先に書面を送付したのは,直接の理由は,津山の弁護士の信用と秩序

       を維持するためであるが,送付すれば,顧問先のインタビュー記事として西

       村綜合法律事務所のウェブサイト上に掲載していることに関して,承諾して

       いるかどうかを確認できると考えたからである。

     2 懲戒請求事由2について

      ⑴ 事件の相手方の実名を公表したことについて

        ウェブサイトに掲載するに際して,事件の相手名を伏字にするかどうかは

       事件の性質によって判断している。株式会社山本工務店(以下「山本工務店

       」という。)が津山地域では著名な建設会社であり,かかる会社が施工した

       工事について裁判所が工事の瑕疵や工事費用の水増しを認定した判決を下し

       たという事実は,公共の利害に関する事実であって,判決の公開により山本

       工務店の社会的評価が低下しても,公共のために公開する価値のある事実で

       あると判断したからである。

      ⑵ 判決確定後に請求を控える書面を山本工務店宛送付したのは,これ以上争

       いを継続することは同社にとっても採算があわないものであるということを

       理由としており,問題はない。

        懲戒請求者に連絡をとらずに直接書面を送付したのは,裁判所に掲示され

       てある開廷表から,山本工務店は懲戒請求者以外の弁護士を代理人とするよ

       うになっていると認識したので,依頼関係はないだろうと考えたからである。

     3 懲戒請求事由3について

      ⑴ 訴訟提起したのは,懲戒請求者が,工事代金という金銭債権について,代

       金及び利息に加えて弁護士費用まで加えて訴訟提起すると告知したことに

       いて,どのような理論的根拠によって金銭債権について「弁護士費用の支払

       いを求める訴訟」を提起するということが可能なのかを懲戒請求者に明らかに

       させる必要があると考えたからであり,正当である。

      ⑵ 懲戒請求者が「誹謗中傷」とする準備書面の内容は,懲戒請求者の行為の動

       機を述べたものであり,誹謗中傷にはあたらない。

            第3 証拠

       別紙証拠目録記載のとおり

    第4 当委員会の認定した事実

     1 懲戒請求事実1について

      ⑴ ウェブサイトへの記載事項

       ァ 対象弁護士は,平成31年3月頃,同弁護士のウエブサイトに,「西村

        綜合法律事務所(西村・一法師)のインターネット上でサギ広告問題」と

        表示し,新着情報として「2019/03/11弁護士法人西村綜法律事務

        所のインターネット上のサギ広告について,岡山弁護士会に同弁護士法人

        及び弁護士西村啓聡・一法師拓也の懲戒処分を請求」と記載した。

         対象弁護士は,同ウエブサイトに,岡山弁護士会への懲戒請求について

        以下の説明を記載し,その懲戒請求にかかる懲戒請求書及び平成31年3

        月22日付け及び同4月8日付け各主張書面の全文を引用した。

        「弁護士法人西村綜合法律事務所が行っているサギ広告とは,同弁護士法

        人が開設した「津山の弁護士による交通事故・後遺障害相談(弁護士法人

        西村綜合法律事務所)」と題するインターネット上のサイトにおいて,同

        弁護士法人が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・

        解決実績」を有し,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有すると宣伝し,

        「最新」の「解決事例」として7件の事件を表示しているが,真実には,

        7件の事件のうち,同弁護士法人が示談交渉を受任した事件は3件にすぎ

        ず,4件の事件は,一法師が同弁護士法人の社員となる以前に東京の法律

        事務所に勤務していた時期に関与した事件を,同弁護士法人が受任した事

        事件であるかのように偽装しているものであるというものであって,極め

        て悪質なものといわざるをえないものであります。

         弁護士が,弁護士の懲戒処分を弁護士会に請求するというのは異例のこ

        とでありますが,弁護士法人西村綜合法律事務所は上記のようなサギ広告

        をインターネット上において常習的に行っており,同弁護士法人のインタ

        ーネット上のサギ広告をこのまま放置することは,津山の弁護士の信用と

        秩序を著しく毀損するものであるため,やむなく今回の措置をとることに

        いたしました。

         なお,岡山弁護士会に提出した弁護士法人西村綜合法律事務所及び弁護

        士西村啓聡・一法師拓也の懲戒請求書の内容は,以下のとおりです。」

       イ 対象弁護士が指摘した事実のうち,「4件の事件は,一法師が同弁護士

        法人の社員となる以前に東京の法律事務所に勤務弁護士として在籍してい

        た時期に関与した事件を,同弁護士法人が受任した事件であるかのように

        偽装している」の部分は,「同弁護士法人が受任した事件であるかのように

        偽装している」という評価は別として,「4件の事件は,一法師が同弁護

        士の社員となる以前に東京の法律事務所に勤務弁護士として在籍していた

        時期に関与した事件」であるという事実は,真実と認められる。

      ⑵ 津山市内の弁護士への書面の送付

        対象弁護士は,下記の内容の平成31年3月11日付け書面を作成し,懲

       戒請求書と告発状の各写しを添え,いずれも津山市内の法律事務所である岡

       山パブリック法律事務所津山支所,飯綱浩二法律事務所,弁護士法人有元実

       法律事務所,香山法律事務所及び吉村法律事務所へ送付した。

       「西村啓聡弁護士につき,弁護士の職業倫理に反する振る舞いが目に余るも

       のであったところ,平成27年頃,当時の民主党の衆議院岡山3区公認候補

       となろうとしていたため,当職は,岡山弁護士会に西村の懲戒請求を申立て

       ることにより,内定していた民主党の公認の話をぶち壊しにしてやりました。

        当職としては,西村については,政治生命を潰してやれば,いずれは津山

       からは出て行くものと考え,その後は西村に対する攻撃は控えておりました

       が,西村は,当職に政治生命を潰されながら,今更東京に帰ることもできな

       いようで,この間,当職が西村に対する攻撃を控えているのをよいことに,

       恥知らずにも何とか津山で弁護士として生き残ろうと,色々と画策している

       ようであります。

        そのため,当職は,この度,弁護士法人西村綜合法律事務所のインターネ

       ット上のサギ広告について,西村啓聡及び一法師拓也の両名を不正競争防止

       法違反で岡山地方検察庁津山支部に刑事告発するとともに,両名及び弁護士

       法人西村綜合法律事務所の懲戒請求を岡山弁護士会に申立てましたのでご報

       告いたします。

      ⑶ 西村綜合法律事務所の顧問先への書面の交付

        対象弁護士は,下記の内容の平成31年3月14日付け書面を作成し,い

       ずれも西村綜合法律事務所の顧問先である株式会社大広,有限会社土居の里,

       廣岡ライフコンサルテイング事務所へ送付した。なお,文中に「各方面に通

       知済み」とあるのは,山陽新聞及び津山朝日新聞へ文書を送付したことを意

       味する。

       「弁護士法人西村綜合法律事務所の西村啓聡及び一法師拓也の両弁護士につ

       き,以前より弁護士の職業倫理に反する振る舞いが目に余るものであったと

       ころ,この度,同弁護士法人がインターネット上でサギ広告を常習的に行っ

       ている事実が明らかとなったため,当職は,西村及び一法師の両名を岡山地

       方検察庁津山支部に不正競争防止法違反で刑事告発するとともに,岡山弁護

       士会に両名及び弁護士法人西村綜合法律事務所の懲戒処分を請求いたしまし  

       た。

        当職は,西村や一法師のごとき,弁護士でありながら,サギ師同然の行為

       をして恥じない輩を放置することは,津山の弁護士の信用と秩序を害するも

       のと考え,西村及び一法師を刑事告発した事実についてはすでに各方面に通

       知済みであります。

        当職の今回の措置により,弁護士法人西村綜合法律事務所と顧問契約を締

       結されている貴社にも,今後少なからぬ影響が生じることになるものと思い

       ますが,当職の措置は津山の弁護士の信用と秩序を維持するためのやむを得

       ない者でありますので,ご了解ください。

     2 懲戒請求事由2について

      ⑴ 対象弁護士は,平成27年11月頃,同弁護士のウェブサイトの新着情報

       欄に下記の文章を掲載し,判決全文を,被告名を削除に引用した。

       「2015/11/24津山簡易裁判所平成26年(ハ)第274号請負代

       金請求事件判決(全部勝訴)株式会社山本工務店の工事の瑕疵・工事費用の

       水増しを認定」

      ⑵ 対象弁護士は,下記の内容の平成30年11月20日付け文書を作成し,   

       山本工務店に送付した。

       「 貴社と××××氏との間の訴訟事件につき,当方からの上告以来2年にし

       てようやく広島高等裁判所の上告審判決が下されました。

        上告審判決の内容は,当方としては承服しがたいものではありますが,上

       告審判決が下された以上は,当方としてもそれを受け入れるほかないもので

       す。

        本件は請求額はたかだか50万円の事件であり,通常ならば,弁護士が受

       任して採算の合う事件ではありません。

        それにもかかわらず,当職が本件を受任し,本件の裁判を通常の事件以上

       の勢力を費やして争ったのは,別に貴社に恨みがあったためではなく,ただ,

       貴社が代理人に選任した西村啓聡弁護士に弁護士の職業倫理を逸脱したふる

       まいが見受けられ,長年津山で弁護士を行ってきた人間として,西村弁護士

       のふるまいを看過することができなかったためでした。

        当職が拝察するところでは,現在,貴社は西村弁護士とは特別の関係を持っ

       ておられないように見受けらえます。

        そのため,当職といたしましては,上告審判決が下されたのを機に,本件は

       これで幕引きにしたいと思い,これまで当法律事務所のホームページに掲載

       しておりました貴社と××氏との間の一審及び控訴審の判決はホームページ

       から削除いたしました。

        つきましては,貴社におかれましても,本件はこれで幕引きにしていただ

       きたく,××氏に対し,請負代金の請求等の措置に出ることはお控えくださる

       ようお願いいたします。

        仮に,貴社が,今後,××氏に対し,請負代金の請求する措置に出られる

       のであれば,当職としては,××氏の代理人として,これまでと同様に,全力

       で貴社と争わざるをえませんが,貴社が西村弁護士を代理人として××氏

       に対し訴訟を提起して以来上告審判決までのこれまでの約4年間の貴社の負

       担を考えても,本件についてこれ以上争いを続けることは,貴社にとっても

       採算の合うものではないと考えますので,賢明な判断をされるよう期待する

       次第であります。」

     3 懲戒請求事由3について

      ⑴ 対象弁護士は,平成26年12月10日,岡山簡易裁判所に対して,Aの

       代理人として,懲戒請求者と山本工務店を被告として,金50万円の損害賠

       償請求訴訟を提起した。

        訴状の内容は,被告らの違法行為として「本件のごとき取引上の紛争にお

       いて,弁護士費用を請求することは認められない」にもかかわらず,これを

       請求したことを指摘し,「被告西村のなした行為は,「人を恐喝して財物を

       交付させた」ものとして「恐喝罪」に該当するものである」と主張し,慰謝

       料30万円及び弁護士費用20万円の計50万円を請求するものであった。

      ⑵ 対象弁護士は,前項の訴訟にかかる平成27年1月26日付け準備書面 

       において,「程度の低い主張をして,その馬鹿さ加減をさらけだしている。」 

       ,「いくら被告西村が馬鹿でも」,「落選して以来,弁護士としての業務はほ

       とんど行わず,もっぱら民主党からの資金援助によって生活することも不可

       能となり,津山で弁護士として生計をたてていかなく手はならなくなった人

       間であって」等の主張をしていた。

    第5 当委員会の判断

      ⑴ 弁護士がインターネット上で「サギ広告」をしていると故なく指弾するの   

       は当該弁護士の社会的信用を毀損する行為であり,また当該弁護士の業務を

       妨害することになることは明らかである。弁護士は,基本的人権の擁護と社

       会正義の実現を使命としており,その活動には弁護士職務規定第5条の「信

       義誠実」が求められており,「サギ広告」をおこなっているという事実指摘

       は,当該弁護士にとっては,その存在が否定される評価となるからです。

        したがって,弁護士の身分を有する者が,他の弁護士の広告が「サギ広告」

       であると指摘するときは,その評価にあたることを示す十分な資料と根拠とを

       もっていなければならない。

      ⑵ 広告の許否

        弁護士職務基本規程第9条第1項は,弁護士は,広告又は宣伝するときは,

       虚偽又は誤導にわたる情報を提供してはならないと規定し,業務広告に関す

       る規程(以下「業務広告規程」という。)第3条は,事実に合致していない広

       告(第1号),誤導又は誤認のおそれのある広告(第2号)を禁止している。

        そこで,業務広告規程第13条に基づき,規程の解釈及び運用についての

       指針を定めることを目的として定められた「弁護士及び弁護士法人並びに外

       国特別会員の業務広告に関する指針」をみるに,第3,1(弁護士等の品位 

       に付いての考え方)は,弁護士等の品位保持の目的は,国民の弁護士等に対

       する信頼を保持することにあると考えられることから,品位を損なうおそれ

       のある広告であるか否かは,弁護士の立場から判断するのではなく,広告の

       受け手である国民から見た場合に弁護士等に対する信頼をそこなう広告であ

       るか否かという視点で判断すると述べ,第3,2において,⑴虚偽の表示     

       ァ 経歴等を偽った表示,イ 実在しない人物の推薦文,⑵実体が備わない

       団体又は組織の表示を例示し,業務広告規程第3条第2号の「誤認又は誤導

       のおそれのある広告」として,⑴交通事故の損害賠償事件の件数を損害賠償

       事件取扱件数に含めて延べ件数を表示し,あたかも損害賠償事件全般につい

       て習熟しているかのような印象を与える表現「過去の損害賠償事件取扱件数

       ○○件 航空機事故はお任せ下さい。」,⑵他の事件を例として掲げ,その

       例と同じような結果をもたらすと思わせるような表現「交通事故で1億3,  

       000万円を獲得しています。あなたも可能です。」等と例示している。

      ⑶ 以上を前提に,対象弁護士の「西村綜合法律事務所が交通事故にかかる損

       害賠償請求を取り扱う広告として,同事務所に所属する一法師弁護士が前に

       勤務した東京の法律事務所で手がけた交通事故損害賠償請求事件4件の成果

       を最新の解決事例として表示し,あたかも自己の法律事務所の成果のように

       表示して,事務所の実績を水増ししたことが不適切であり,これを「サギ広

       告」と評価した」との主張を検討する。

        法律相談を依頼する利用者にとって,当該事務所がどのような事件を扱う

       ことができるかは,弁護士選択の重大な関心事である。インターネットは法

       律事務所選択の重要な情報源となっているから,インターネット上で広告を

       する事務所は,所属弁護士の経歴や経験を偽ってはならない。

        この観点から評価するとき,西村綜合法律事務所やその所属弁護士が全

       く関与していない事例を取扱い事例として広告とした場合には,「サギ広

       告」の評価を受け得るが,所属弁護士が関与した事例である以上,弁護士

       法人及び所属弁護士の取扱業務の事例を説明したものと言うことができ,

       「サギ広告」との評価をすべきものとは解されない。

      ⑷ よって,対象弁護士が懲戒請求者の広告を「サギ広告」と批判し,懲戒

       請求者は「サギ広告を常習的に行っている」と公に表示した行為は,「品

       位を失うべき非行」に該当する。

     2 懲戒請求事由1⑵について

       対象弁護士が津山市内の法律事務所に送付した書面には,上記のように懲戒

      請求者が「サギ広告」をした旨の不適切な記載があったので,懲戒請求者の名

      誉を毀損し,業務を妨害するものである。

       対象弁護士は,こそこそ行動するのではなく,何を問題にしているかを津山の

      弁護士たちに知らせた方がよいと考えたから送付したと弁明するが,かかる動

      機は対象弁護士のなした文書配布行為を正当化するものではない。

       よって,懲戒請求事由1⑵の行為は,「品位を失うべき非行」に該当する。

     2 懲戒請求事由1⑶について

       対象弁護士が西村綜合法律事務所の顧問先へ送付した書面には,「以前より

      弁護士の職業倫理に違反する振る舞いが目に余る者であったところ,この度,

      同弁護士法人がインターネット上でサギ広告を常習的に行っている事実が明

      らかとなったため,当職は,西村及び一法師の両名を岡山地方検察庁津山支

      部に不正競争防止法違反で刑事告発するとともに,岡山弁護士会に両名及び

      弁護士法人西村綜合法律事務所の懲戒処分を請求いたしました。」,「弁護

      士でありながら,サギ師同然の行為を行って恥じることのない輩を放置する

      ことは」等と表現があり,また,顧問先にも少なからぬ悪影響が生じるであろ

      うということを告知する内容も含まれ,懲戒請求者の名誉を毀損し,業務を

      妨害するものである。

       対象弁護士は,当該文書中に,津山の弁護士と信用と秩序を維持するため

      であるとの主張をしているが,かかる職責は弁護士会が行うところであると

      ころ,懲戒請求者の広告の是非に対しいまだいかなる公的機関の判断もなさ

      れていなかったのであるから,対象弁護士が先んじてt懲戒請求者の名誉を

      毀損し,業務を妨害してまで懲戒請求者に制裁を加えることは許されない。

      また,対象弁護士は,西村綜合法律事務所の顧問先が同事務所からのインタ

      ビュー記事をウェブサイトにけ掲載することを同意しているかどうかを確か

      められると考えたと弁明するが,対象弁護士による表現は懲戒請求者の批判

      を主たる内容としたものであって,かかる目的は記載されていない。

       よって,懲戒請求事由1⑶の行為は,「品位を失うべき非行」に該当する。

     4 懲戒請求事由2⑴について

       判決文を公にするにあたって,裁判は公開であるとの原則からは当事者名

      を付せる必要はないと考えられ,判例雑誌に当事者名がそのまま記載されて

      いた時期があった。しかし,一部の事件がマスコミで取り上げられるほかは,

      事件は一般に周知されることはなく,また,個人の人格的利益を保護すべき

      要請が高まったことから,昨今では,判例雑誌の記事は当事者名を伏せるも

      のが多数となっている。民事訴訟事件の結果を当事者名を含めて公表するこ

      との当否に確たる基準があるということはできない状況にあると認められる。

       対象弁護士は,当該工務店は津山市内では著名な建設会社であり,公益性

      があるから公開したと弁明しているところ,かかる考え方が不適切であると

      いうことはできず,当該工務店の主張が概ね認められた控訴審判決も全文を

      掲載していることも併せ考えれば,懲戒請求2⑴の行為は,「品位を失うべ

      き非行」にあたるとは評価できない。

     5 懲戒請求事由2⑵について

       弁護士は,相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは,正当  

      な理由なく,その代理人の承諾を得ないで直接相手方と交渉してはならない(

      職務基本規程52条)。

       懲戒請求者は,山本工務店を代理して請負金の支払を求める平成26年6月

      5日付け文書を送付していたのであるから,請負金請求訴訟が終了したから,

      あるいは,山本工務店がほかの訴訟事件で懲戒請求者以外の弁護士を代理人と

      して選任したからといって,懲戒請求者が代理人ではなくなったと解するのは

      合理的とは認められず,対象弁護士が,受任継続を確認せずに,直接に相手方

      である山本工務店に請負金請求を断念することを求める文書を送付したことは

      ,「品位を失うべき非行」に該当する。

       また,山本工務店に対象弁護士が送付した文書は,確定判決により対象弁護

      士の依頼者に対する山本工務店の請負代金債権が確定したものであるにもかか

      わらず,対象弁護士と懲戒請求者の関係や,ホームページに掲載していた判決

      文の削除等を理由として請求をしないよう求める不合理なものであり,「品位

      を失うべき非行」に該当する。

     6 懲戒請求事由3について

       懲戒請求事由3は,平成26年12月に訴えが提起され,平成27年11月

      24日に判決が言い渡されて確定した民事訴訟にかかるものである。

      本件が綱紀委員会の調査に付された日は,平成31年4月10日であり,懲戒

      請求者が主張している懲戒事由があったときから3年を経過している。

       よって,これについては,弁護士法第63条の規定により懲戒手続を開始す

      ることはできない。

     7 以上より,対象弁護士の行為には,上記述べたように弁護士法第56条第1

      項に定める「品位を失うべき非行」がある。

       よって,主文のとおり議決する。

 

       2019年10月28日

 

                   岡山弁護士会綱紀委員会

                     委員長  近  藤     剛

 

      (証拠目録省略)