岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所  

岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所(所長 弁護士黒田 彬)

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西村綜合法律事務所のサギ広告を懲戒しない旨の岡山弁護士会の決定書

西村総合法律事務所を懲戒しない旨の岡山弁護士会の決定書

      

 岡山弁護士会は,令和元年9月25日,弁護士黒田彬による弁護士法人西村

綜合法律事務所及び弁護士西村啓聡・一法師拓也に対する懲戒処分の請求につ

き,懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする旨の綱紀委員会の議

決に基づき,同弁護士法人及び弁護士西村啓聡・一法師拓也を懲戒しない旨の

    決定をいたしました。

     上記懲戒請求は,弁護士法人西村綜合法律事務所が開設した「津山の弁護士

による交通事故・後遺障害相談」と題するインターネット上のサイトにおいて

同弁護士法人が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・解

 決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有すると宣伝し,「最新」の「解

 決事例」として7件の事件を宣伝していたが,真実には,7件のうち4件の事件

 は,同弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した岡山県北の事件

 ではなく,同サイトの開設から2年半以上も前に弁護士一法師が東京の法律事務

    所に在籍していた時期に関与した事件であったため,弁護士黒田彬は,同サイト

    の弁護士法人西村綜合法律事務所の広告を悪質なサギ広告であると判断し,同弁

    護士法人及び弁護士西村啓聡・一法師拓也の懲戒処分を岡山弁護士会に対し請求

    していたものです。

     岡山弁護士会綱紀委員会が,弁護士法人西村綜合法律事務所及び弁護士西村啓

    聡・一法師拓也について懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする理

    由は,同委員会の議決書によれば,同弁護士法人のサイトの4件の事件の「解決

    事例」としての表示は,「画面上,対象弁護士法人が取り扱った交通事故・後遺

    障害との限定は付されていない」ゆえに,「本件で問題となっている交通事故4

    件は,対象弁護士一法師が対象弁護士法人とは異なる法律事務所に在籍時に取り

    扱った事件ではあるが,対象弁護士法人の処理案件として表示したものではない

    。」というものです。

     しかし,サイトを閲覧する一般市民の立場からすれば,「岡山県北有数のご相

    談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」と宣伝している法律事務所の

    サイトに「解決事例」として表示されていれば,同事務所が示談交渉を受任し,

    賠償金の増額を実現した事件と考えるのが当然であり,これを,「画面上,対象

    弁護士法人が取り扱った交通事故・後遺障害との限定は付されていない」ことを

    理由に,「対象弁護士法人の処理案件として表示したものではない」とするのは,

    サイトを閲覧する一般市民の立場を無視して,弁護士の悪質なサギ広告を不当に

    擁護するものでしかありません。

              岡山弁護士会綱紀委員会の論理によれば,工務店がインターネット上の広告で

    従業員が以前に他の工務店に勤務していた時期に施工した住宅を「施工事例」と

    して宣伝しても,「画面上」当該工務店の施工事例と限定していなければ,サギ

    広告とはいえないことになるが,それは,一般市民の常識とはかけ離れた判断で

    す。

。    そのため,弁護士黒田彬は,令和元年10月12日,上記岡山弁護士会の決定

    に対する異議の申出を日本弁護士連合会にいたしました。

     なお,弁護士法人西村綜合法律事務所を懲戒しない旨の岡山弁護士会の決定書

    (弁護士西村啓聡・一法師拓也についても同文)及び岡山弁護士会綱紀委員会の

    議決書の全文は,以下のとおりです。

 

 

       岡弁2019年(綱)第5号事案

 

                  決 定 書

 

              岡山県津山市山北560番地4 ムサシノビル6階

                   津山総合法律事務所 

                     懲戒請求者 黒 田   彬

       

        (主たる事務所)岡山県津山市椿高下45-2

                  対象弁護士法人 弁護士法人西村綜合法律事務所

                                (届出番号877)   

        (従たる事務所)岡山市北区蕃山町3-7 両備蕃山町ビル501

                     弁護士法人西村綜合法律事務所岡山事務所

     

本会は,上記懲戒請求事案につき,次のとおり決定する。

 

 (主 文)

 

   対象弁護士法人を懲戒しない。

 

 (理 由)

 

      上記対象弁護士法人に対する懲戒の請求について,綱紀委員会に事案の調査

     を求めたところ,同委員会が別紙のとおり議決したので,弁護士法第58条第

      4項の規定により,主文のとおり決定する。

 

         2019年9月25日

 

                   岡山弁護士会

                           会長 小 林 裕 彦

 

      

 

                 岡弁2019年(綱)第5号~第7号

        

                     議 決 書

 

                  岡山県津山市山北560番地4 ムサシノビル6階

                  津山総合法律事務所

                   懲戒請求者 黒 田   彬

 

      (岡弁2019年(綱)第5号)

         (主たる事務所)岡山件津山市椿高下45番地2

                 岡山弁護士会所属弁護士法人

                  対象弁護士法人 弁護士法人西村綜合法律事務所

                            (届出番号877)

         (従たる事務所)岡山市北区蕃山町3-7 両備蕃山町ビル501

                 岡山弁護士会所属弁護士法人

                  弁護士法人西村綜合法律事務所岡山事務所

      (岡弁2019年(綱)第6号)岡山県津山市椿高下45番地2

                 弁護士法人西村綜合法律事務所

                 岡山弁護士会所属弁護士

                  対象弁護士   西 村 啓 聡

                            (登録番号37101)

      (岡弁2019年(鋼)第7号)岡山県津山市椿高下45番地2

                 弁護士法人西村総合法律事務所

                 岡山弁護士会所属弁護士

                  対象弁護士   一法師 拓 也

                            (登録番号47762)

 

                     主   文

 

      対象弁護士法人及び対象弁護士らにつき,懲戒委員会に事案の審査を求めないこ

     とを相当とする。

 

                        理   由

    

      第1 申立ての趣旨

         1 対象弁護士法人は平成27年1月15日設立された法人であり,対象弁

        護士西村はその代表社員である。対象弁護士一法師は平成27年2月18

        日対象弁護士法人の社員となり,平成28年8月3日社員を辞した後は勤

        務弁護士として在籍している。

       2 対象弁護士西村及び同一法師(以下「対象弁護士ら」という。)は,平成

        29年8月頃,「津山の弁護士よる交通事故・後遺障害相談(弁護士法人西

        村綜合法律事務所)」と題するインターネット上のサイト(以下「本件サイ

        ト」という。)を開設するにあたり,次の4件を「最新」の「解決事例」と

        して表示した。

        ① 任意自動車保険未加入だったものの,治療費や慰謝料の受取に成功し

         た事例

        ② 右足首骨折で示談金額750万円を受け取った事例

        ③ 後遺障害14級9号認定を獲得し,示談金額が160万円増額した事

         例

        ④ 後遺障害11級認定を獲得し,示談金額990万円増額した事例

       3 上記4件は,対象弁護士一法師が対象弁護士法人の社員となる以前の,

        東京の弁護士法人法律事務所Astiaに勤務弁護士として在籍していた

        時期に関与した事件である。それにも関わらず対象弁護士らが前項の表示

        をしたことは,本件サイトの閲覧者をして,対象弁護士法人が示談交渉を

        受任し,賠償金の増額を実現した「最新」の解決事例であると誤認させる

        ものである。

       4 対象弁護士らの行為は対象弁護士法人の広告についてなしたものであり 

           ,代表社員である対象弁護士西村の行為は対象弁護士法人の行為と同視で

        きる。

       5 よって,対象弁護士法人及び対象弁護士らによる上記表示は,岡山弁護

        士会会則第9条⑷「弁護士及び弁護士法人の品位を毀損するおそれのある   

        広告」に該当するため,本懲戒請求を行う。

      第2 対象弁護士法人及び対象弁護士らの弁明の要旨

       1 対象弁護士法人及び対象弁護士ら共通の弁明

         対象弁護士法人は,平成29年8月,交通事故に特化した本件サイトを開

        設し,その「解決事例」,「解決事例の最新記事」,「新着情報」のページに, 

        対象弁護士一法師が法律事務所Astia在籍時に担当した懲戒請求者主

        張の4件の交通事故の事例を掲載した。

            上記4件の交通事故は,対象弁護士一法師が法律事務所Astia在籍

        時に主任として担当した事件であり,虚偽の交通事故事件を捏造したもの

        ではない。対象弁護士法人に所属している弁護士が過去に解決した事例を

        対象弁護士法人の解決事例とすることは,実質的に見て閲覧者を誤導又は

        誤認させるものではない。

         よって,岡山弁護士会会則第9条⑷に違反するという懲戒請求者の主張

        は認められない。

       2 対象弁護士一法師独自の弁明

         対象弁護士西村から,過去に所属していた法律事務所で担当した交通事

        故の解決事例をホームページに掲載するために文書にするように指示を受

        け,懲戒請求者主張の4件を抜粋して文書にした。対象弁護士西村が単独で

        本件サイトを開設し,上記4件を掲載したものであり,対象弁護士一法師は

        本件サイトの開設に関与しておらず,掲載も知らされていなかった。

      第3 証拠

        別紙目録記載のとおり

      第4 当委員会の認定した事実

       1 対象弁護士法人は平成27年1月15日設立された法人であり,対象弁

        護士西村はその代表社員である。対象弁護士一法師は平成27年2月18

        日対象弁護士法人の社員をとなり,平成28年8月3日社員を辞した後は

        対象弁護士の勤務弁護士である。

       2 対象弁護士法人は,平成27年4月21日にウェブサイトを開設していた

        が,平成29年8月に交通事故に特化した新たなウェブサイト(本件サイ

        ト)を開設した。平成31年3月8日時点の本件サイトのトップページ上

        部には,大きめの活字で「岡山県北の弁護士による交通事故・後遺障害相

        談」と記載されている。続いて,「岡山県北有数のご相談・解決実績」「大

        幅な賠償金の増額実績多数」の各表示が入れ替わる部分がある(甲2の1

        及び2)。このうち,「岡山県北有数のご相談・解決実績」の記載の右側

        に対象弁護士法人所属弁護士4名(左から一法師拓也,西村啓聡,高畠富

        大,山本大地)の写真が掲載されている。本件サイトの「解決事例」のペー

        ジ(甲2の3)には,トップページと同様に「岡山県北の弁護士による交

        通事故・後遺障害相談」及び対象弁護士事務所の名称・住所等の記載が表

        され,下部に「新着情報」が掲載されている。なお,各ページ上,対象弁

        護士法人の取り扱い交通事故・後遺障害相談との記載はない。

       3 同日時点において,本件サイトの「解決事例」「新着情報」の各ページに

        は,対象弁護士一法師が法律事務所Astiaにおいて担当した懲戒請求

        者主張の4件の交通事故事例が掲載されていた(甲2の3及び5)。

       4 対象弁護士法人は,本懲戒請求後,本件サイトの「解決事例」「新着情報」

        の各ページから前記4件を削除した(甲6の1及び3)。

      第5 当委員会の判断

       1 日本弁護士連合会弁護士職務基本規程第9条1項において,弁護士は,

        広告又は宣伝するときは,虚偽または誤導にわたる情報を提供してはなら

        ないと規定し,日本弁護士連合会弁護士当の業務広告に関する規定第3条

        は,弁護士等が事実に合致していない広告や誤導又は誤認のおそれのある

        広告等をすることを禁じている。したがって,これらに違反した広告を行

           った場合,弁護士及び弁護士法人の品位を失うべき非行として懲戒対象と

        なる。

       2 弁護士等の業務広告に関する規定第13条に基づき,規程の解釈及び運

        についての指針を定めることを目的として平成24年3月15日理事会決

        議された「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する

        指針」第3の(弁護士等の品位についての考え方)には,「弁護士等の品

        位保持の目的は,国民の弁護士等に対する信頼を維持することにあると考

        えられることから,品位を損なうおそれのある広告であるか否かは,弁護

        士の立場から判断するのでなく,広告の受け手である国民から見た場合に

        弁護士等に対する信頼を損なうおそれのある広告であるか否かという視点

        で判断する」と記載されている。そして,第3の2において,事実に合致

        していない広告(前記規程第3条第1号に違反するもの)として,⑴経歴

        等を偽った表示,実在しない人物の推薦文等の虚偽の表示,⑵実体が伴わ

              ない団体又は組織の表示を例示し,誤導又は誤認のおそれのある広告の例示

        (前記規程第3条第2号に違反するもの)として,交通事故の損害賠償事件

        の件数を損害賠償事件取扱件数に含めて述べ件数を表示し,あたかも損害賠

        償事件全般について習熟しているかのような表現「過去の損害賠償事件取

        扱件数○○件 航空機事故はお任せ下さい。」,⑵他の事件を例として掲げ,

        その例と同じような結果をもたらすと思わせるような表現「交通事故で1

        億3,000万円を獲得しています。あなたも可能です。」,⑶弁護士報酬

        について曖昧かつ不正確な表現「割安な報酬で事件を受けます。」を例示

        している。

         3 前記認定事実によると,「解決事例」,「新着情報」の各ページは,上部

        に大きめの活字で「岡山県北の弁護士による交通事故・後遺障害相談」の

        記載,その下に小さめの活字で対象弁護士法人の名称・住所等の記載で統

        一されており,画面上,対象弁護士法人が取り扱った交通事故・後遺障害

        相談との限定は付されていない。本件で問題となっている交通事故4件は

        対象弁護士一法師が対象弁護士法人とは異なる法律事務所に在籍時に取り

        取り扱った案件であるが,対象弁護士法人の処理案件として表示したもの

        とはいえない。また,対象弁護士一法師が実際に取り扱っている以上,対

        象弁護士が取り扱っていない事件を表示したことにもならないから,前記

        規程第3条第1号に違反するものとはいえない。

         次に,本件サイトのトップページ上,対象弁護士法人取り扱い交通事故・

        後遺障害相談との記載はなく,「岡山県北の弁護士による交通事故・後遺障

        害相談」と記載され,その下の「岡山県北有数のご相談・解決実績」「大幅

        な賠償金の増額実績多数」の各表示が入れ替わる部分のうち,「岡山県北有

        数のご相談・解決実績」の記載の右横に対象弁護士法人所属弁護士4名の

        写真が掲載されていることからすれば,市民が本件サイトを閲覧した場合,対

        象弁護士法人に所属しない弁護士による相談・解決事例が掲載されていれ

        ばともかく,所属弁護士による相談・解決事例が掲載されているのであれば

        記載と事実に齟齬はなく,その信頼を損なうおそれがあるとはいえない。そ

        して,本件で問題となっている交通事故4件は対象弁護士一法師が取り扱

        った案件であるから,前記規程第3条第2号に違反するものとはいえない。

         したがって,対象弁護士法人及び対象弁護士らによる本件サイトにおけ

        る前記表示が岡山弁護士会会則第9条⑷「弁護士及び弁護士法人の品位を

        毀損するおそれのある広告」に違反するとの懲戒請求者の主張には理由が

        な

       4 以上より,対象弁護士法人及び対象弁護士らの行為に弁護士法第56条第

        1項に定めるその品位を失うべき非行は認められない。

         よって,主文のとおり議決する。

 

        2019年8月26日

 

         岡山弁護士会綱紀委員会

 

             委員長 近   藤       剛