岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所  

岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所(所長 弁護士黒田 彬)

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岡山弁護士会懲戒委員会に対する弁護士黒田彬の弁明書

岡山弁護士会懲戒委員会に対する弁護士黒田彬の弁明書

 

      

      

    

    岡弁2019年(懲)第1号事件

 

          弁  明  書

               

                          令和元年12月10日

 

    岡山弁護士会懲戒委員会 御中

 

             被懲戒請求者  弁護士 黒   田      

 

 

    第1 懲戒請求事実1⑴

     1 問題の所在

       本件懲戒請求は,懲戒請求者が代表社員である弁護士法人西村綜合

      法律事務所(以下「西村綜合法律事務所」という。)が平成29年8

      月頃開設した「津山の弁護士による交通事故・後遺障害相談(弁護士

      法人西村綜合法律事務所)」と題するインターネット上のサイト(以

      下「本件サイト」という。)において,同弁護士法人に所属する弁護

      士一法師拓也(以下「一法師」という。)が平成27年2月18日に

      同弁護士法人の社員となる以前に東京の弁護士法人法律事務所Astia

      に勤務弁護士として在籍していた時期に関与した4件の事件(以下

      「4件の事件」という。)を「最新」の「解決事例」として表示し,

      それが西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現し

      た最新の解決事例であると誤認させるような表示をしたことについて

      被懲戒請求者が岡山弁護士会に西村綜合法律事務所及び懲戒請求者並

      びに一法師の懲戒処分を請求したこと(2019年岡弁(綱)第5~

      第7号事件。以下「懲戒請求者事件」という。)を,被懲戒請求者が

      西村綜合法律事務所の「サギ広告」について弁護士会に懲戒処分を請

      求したものとして被懲戒請求者の法律事務所のインターネット上のサ

      イトにおいて津山市民に公開したことに対し,懲戒請求者から対抗的

      に申立てられたものである。

       岡山弁護士会綱紀委員会の議決書は,懲戒請求者の広告(以下,煩

      雑を避けるため,西村綜合法律事務所の広告を「懲戒請求者の広告」

      という。)は「サギ広告」には当たらないとし,これを「サギ広告」

      として批判し,公にした被懲戒請求者には弁護士の「品位を失うべき

      非行」があるとする。

       綱紀委員会の議決書が被懲戒請求者に「品位を失うべき非行」があ

      るとする論理は,以下のとおりである(⑵については,弁護士職務基

      本規程,業務広告に関する規程,「弁護士及び弁護士法人並びに外国

      特別会員の業務広告に関する指針」からの引用なので省略する。)。

 

       ⑴ 弁護士がインターネット上で「サギ広告」をしていると故なく

        指弾するのは,当該弁護士の社会的信用を毀損する行為であり,

        また当該弁護士の業務を妨害することになることは明らかである。

        弁護士は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としており,

        その活動には弁護士職務規定5条の「信義誠実」が求められており

        「サギ広告」を行っているという事実指摘は,当該弁護士にとっ

        ては,その存在が否定される評価となるからである。

         したがって,弁護士の身分を有する者が,他の弁護士の広告が

        「サギ広告」であると指摘するときは,その評価にあたることを

        示す十分な資料と根拠をもっていなければならない。

                     ⑵ 広告の許否(省略)

       ⑶ 以上を前提に,対象弁護士の「西村綜合法律事務所が交通事故に

        かかる損害賠償請求を取り扱う広告として,同事務所に所属する

        一法師弁護士が前に勤務した東京の法律事務所で手がけた交通事

        故損害賠償請求事件4件の成果を最新の解決事例として表示し,

        あたかも自己の法律事務所の成果のように表示して,事務所の実

        績を水増ししたことが不適切であり,これを「サギ広告」と評価

        した」との主張を検討する。

         法律相談を依頼する利用者にとって,当該法律事務所がどのよ

        うな事件を扱うことができるかは,弁護士選択の重大な関心事で

        ある。インターネットは法律事務所選択の重要な情報源となって

        いるから,インターネットで広告する事務所は,所属弁護士の経

        歴や経験を偽ってはならない。

         この観点からすると,西村綜合法律事務所やその所属弁護士が全

        く関与していない事例を取扱い事例として広告した場合には,「サ

        ギ広告」の評価を受け得るが,所属弁護士が関与した事例である

        以上,弁護士法人及び所属弁護士の取扱事例を説明したものとい

        うことができ,「サギ広告」との評価をすべきものとは解されな

        い。

       ⑷ よって,対象弁護士が懲戒請求者の広告を「サギ広告」と批判

        し,懲戒請求者は「サギ広告を常習的に行っている」と公に表示

        した行為は,「品位を失うべき非行」に該当する。

                             (同書7~8頁)

 

       上記綱紀委員会の議決書の論理は,

       a    被懲戒請求者は,西村綜合法律事務所が本件サイトにおいて所

        属弁護士である一法師が東京の法律事務所に在籍していた時期に

        関与した事件を「解決事例」として表示したことを「サギ広告」

        であると批判している。

       b しかし,西村綜合法律事務所やその所属弁護士とは全く無関係

        な事件を「解決事例」として表示することは「サギ広告」の評価

        を受け得るが,所属弁護士が関与した事例である以上,弁護士法

        人及び所属弁護士の取扱事例を説明したものと言うことができ,

        「サギ広告」との評価をすべきものとは解されない。

       c したがって,被懲戒請求者が懲戒請求者の広告を「サギ広告」

        と批判し,それを公にしたことは,「品位を失うべき非行」に該

        当する。

      というものである。

       しかし,上記の綱紀委員会の論理には問題のすり替えがある。

       なぜなら,被懲戒請求者は,懲戒請求者が本件サイトにおいて「4

      件の事件」を「解決事例」として表示しているということから,直ち

      に本件サイトの懲戒請求者の広告を「サギ広告」と断定するような粗

      雑な主張はしていないからである。

       被懲戒請求者が懲戒請求者の「サギ広告」の内容として主張してい

      る事実は,被懲戒請求者のサイトにおいて明記しているように,「弁

      護士法人西村綜合法律事務所が行っているサギ広告とは,同弁護士法

      人が開設した「津山の弁護士による交通事故・後遺障害相談(弁護士

      法人西村綜合法律事務所)」と題するインターネット上のサイトにおい

      て,同弁護士法人が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数

      のご相談・解決実績」を有し,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有

      すると宣伝し,「最新」の「解決事例」として7件の事件を表示して

      いるが,真実には,7件の事件のうち,同弁護士法人が示談交渉を受

      任した事件は3件にすぎず,4件の事件は,一法師が同弁護士法人の

      社員となる以前に東京の法律事務所に勤務弁護士として在籍していた

      時期に関与した事件を,同弁護士法人が受任した事件であるかのよう

      に偽装しているものであるというもの」である。

       上記の説明のうちの下線部分は,具体的には,

       ① 本件サイトのトップページには目立つ位置に大きな文字で「岡

        山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多

        数」という表示があること(懲戒請求者事件甲2の1,2の2)

       ② 「解決事例」のページには7件の事件(サイト開設時には4件

        の事件)が表示されていること(同甲2の3)

       ③ 別のページに置いて上記7件の事件(サイト開設時には4件の

        事件)が「解決事例の最新記事」,「新着情報」として表示され

        ていること(同甲2の4,2の5)

      を指すものであって,上記①ないし③からは,本件サイトの「解決事

      例」のページに表示されている事件は,西村綜合法律事務所の「岡山

      県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」の

      うちの「最新」の「解決事例」を表示しているものとしか解釈できず

      (「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績

      多数」を有する法律事務所が,同事務所が示談交渉を受任し,賠償金

      の増額を実現したものではない事件を「最新」の「解決事例」として

      表示していると考える人間はいない。),真実には,「解決事例」の

      ページに表示されている7件の事件のうち,西村綜合法律事務所が示

      談団交渉を受任し,賠償金の増額を実現した岡山県北の事件は3件にす

      ぎず,4件の事件は本件サイトの開設の2年半以上も前に一法師が東

      京の弁護士法人法律津事務所Astiaに勤務弁護士として在籍していた

      時期に関与した事件であるにもかかわらず,それを「最新」の「解決

      事例」として表示し,西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償

      金の増額を実現した最新の解決事例であるかのように偽装しているの

      は,西村綜合法律事務所が,交通事故の示談交渉について,「岡山県

      北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有

      すると言う宣伝を行うための「解決事例」の件数の水増しを行ってい

      るものである,というのが被懲戒請求者が本件サイトにおける懲戒請

      求者の広告を悪質なサギ広告とする理由なのである。

       懲戒請求者事件についての綱紀委員会の議決書は,本件サイトの「解

      決事例」のページの「4件の事件」の表示は,「画面上,対象弁護士法

      人が取り扱った相談との限定は付されていない」ことを理由として,

      「本件で問題となった交通事故4件は,対象弁護士一法師が対象弁護

      士法人とは異なる法律事務所在籍時に取り扱った案件であるが,対象

      弁護士法人の処理案件として表示したものとはいえない」(同書4頁)

      とするが,インターネット上の広告の特質として,「解決事例」のペー

      ジを閲覧する者は,同ページだけを閲覧するということはありえず,

      トップページを閲覧したうえで「解決事例」のページを閲覧するので

      あって,「解決事例」のページには同ページに表示されている事件が西

      村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件

      であるという表示はなくても,トップページに「岡山県北有数のご相

      談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示があれば,

      「解決事例」のページに表示されている事件を西村綜合法律事務所の

      「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」

      の具体例を表示したものと考えるのが当然であり,綱紀委員会の判断

      はインターネット上の広告の特質を完全に無視した非常識なものであ

      ることについては,懲戒請求者事件についての岡山弁護士会の決定に

      対する被懲戒請求者の日本弁護士連合会への異議申出書において詳論

      しているところである。

       したがって,本件サイトの懲戒請求者の広告を悪質なサギ広告とす

      る被懲戒請求者の主張のうちインターネット上の広告の特質にかかわ

      る問題については上記異議申出書における被懲戒請求者の主張を援用

      することにし,本弁明書においては,視点を変え,本件サイト以前の懲

      戒請求者の広告と本件サイトの比較という視点から問題を論じること

      にする。

     2 本件サイト以前の懲戒請求者の広告

       綱紀委員会の議決書は,「弁護士の身分を有する者が,他の弁護が士

      の広告が「サギ広告」であると指摘するときは,その評価にあたるこ

      とを示す十分な資料をもっていなければならない。」とする。

       しかし,被懲戒請求者は,本件サイトの懲戒請求者の広告をサギ広

      告と判断するにあたっては,本件サイトの内容を綿密に分析する(そ

      の内容については上記異議申出書を参照されたい。)だけでなく,本

      件サイト以前の懲戒請求者の広告と比較対照する作業も行っている。

       懲戒請求者は,本件サイトの開設以前から,「4件の事件」を「成

      功事例」,「解決事例」として表示し,一般市民にそれが西村綜合法

      律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件であると

      誤認させるような広告をインターネット上で常習的に行っていた。

       被懲戒請求者が,本件サイト以前の懲戒請求者の広告については問

      題とせず,本件サイトの懲戒請求者の広告を悪質なサギ広告とするの

      は,同じように「4件の事件」を「成功事例」,「解決事例」として

      表示していても,本件サイト以前の広告については,それは一法師の

      過去の実績を表示したものであって,西村綜合法律事務所が示談交渉

      を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示したものではない

      という弁明が成り立たないものではないのに対し,本件サイトの「解

      決事例」のページの「4件の事件」の表示は,一法師の過去の実績を表

      示したものと解釈する余地はなく,明らかに西村綜合法律事務所が示

      談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示しているも

      のだからである。

       懲戒請求者が本件サイト以前に「4件の事件」を「成功事例」,「解

      決事例」として表示していたインターネット上の広告としては,

       ① 平成27年4月21日に開設した「弁護士法人西村綜合法津事

        務所」と題するサイト(以下「平成27年サイト」という。)の

        「交通事故の被害者の皆様」のページ(懲戒請求者事件甲3)

       ② 弁護士紹介サイト「弁護士ドットコム」の懲戒請求者のサイト

        の「交通事故」の「解決事例」のページ(同甲8)

      があり,それぞれの内容は以下のとおりである。

      ⑴ 平成27年サイト

        平成27年サイトは,その「交通事故の被害者の皆様」のページに

       おいて,「4件の事件」を「当事務所所属の弁護士による成功事例」と

       して表示していた。

        「当事務所所蔵の弁護士による成功事例」という表示は,一般市民

       には西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現

       した事件と誤認させるような表示であったが,「当事務所」ではなく,

       「当事務所所属の弁護士」による成功事例としている以上,それは一

       法師の過去の実績を表示したものであって,西村綜合法律事務所が

       示談交渉を受任し,賠償金を実現した事件として表示したものでは

       ないという弁明は成り立たない「ものではなかった。

      ⑵ 弁護士ドットコム

        懲戒請求者は,平成27年サイトの開設とほぼ同時期に弁護士紹

       介サイト「弁護士ドットコム」に登録し,懲戒請求者のサイトの「交

       通事故」の「解決事例」のページに「4件の事件」のうちの3件の事

       件を表示し,「西村啓聡弁護士からのコメント」として,以下のコメ

       ントを付していた。

        

         当事務所所属の弁護士は,年間平均50件以上の交通事故事案

         を担当してきており,実績も多数あります。

         当事務所は,津山と東京に拠点をもつ事務所ですが,常に最先

         端の法的知識と法技術を駆使し,依頼者様にとって最適な解決

         を図ります。

 

        弁護士ドットコムの「解決事例」のページは,当該弁護士が受任

       し,解決した事件を受任するのが通常であり,懲戒請求者が西村綜

       合法律事務所が受任し,賠償金の増額を実現したものではない事件

       を「解決事例」として表示していることは,おそらく,弁護士ドッ

       トコムの設営者の許容するものではない。

        しかも,「当事務所所属の弁護士は,年間平均50件以上の交通

       事故事案を担当してきており,実績も多数あります。」という「西

       村啓聡弁護士からのコメント」は,一般市民には西村綜合法律事務

       所が年間平均50件以上の交通事故事案を受任し,実績を多数有す

       ると誤認させるような表示であり,弁護士ドットコムへの登録当時,

       西村綜合法律事務所には交通事故の示談交渉についての実績といえ

       るものはほとんど存在しなかったことからすれば,弁護士ドットコ

       ムの懲戒請求者の広告は誤導または誤認のおそれのある広告として

       批判は免れないものであった。

        しかし,上記の表示についても,「当事務所」ではなく,「当事

       務所所属の弁護士」としている以上は,文理上は,一法師が弁護士法

       人法律事務所Astiaに在籍していた時期の実績について述べている

       ものと解釈することも不可能ではなく,したがって,「解決事例」

       のページに表示されている3件の事件についても,一法師の過去の

       実績を表示したものであって,西村綜合法律事務所が示談交渉を受

       任し,賠償金の増額を実現した事件として表示したものではないと

       いう弁明は成り立たないものではなかった。

      3 本件サイトの特色

        本件サイト以前の懲戒請求者の広告と比較しての本件サイトの特色

       は,その内容が,もっぱら西村綜合法律事務所の交通事故の示談交渉

       についての実績を宣伝しているものであって,本件サイト以前の懲戒

       請求者の広告に見られた「当事務所所属の弁護士」の実績についての

       言及がないことである。

        本件サイトがそのトップページにおいて「当事務所が選ばれる6つ

       の理由」として宣伝しているところは,以下のとおりである。

 

        1 交通事故の圧倒的経験と実績

          当事務所では,これまでに交通事故問題に関する法律相談を6

         0件以上お受けしてきました。弁護士と一言で言えど,実は交通

         事故問題を対処したことがない弁護士も中にはいます。この法律

         相談で培った経験とノウハウを活かし,現在も地元岡山の皆様の

         お役に立てるように努めております。

        2 医学的知識とネットワーク

          交通事故で負った怪我は,完治するケースもあれば,後遺障害

         として一生残ってしまうケースもあります。後遺障害の治療につ

         いては,後遺障害が残っているにも関わらず,適切な後遺障害の

         等級認定が行われない場合があります。当事務所では,このよう

         なことが行われないようにするために,後遺障害に詳しい外部の

         専門家と連携し,交通事故被害者の方のサポートをさせて頂いて

         おります。

        3 専門家から評価されるノウハウ

          交通事故の後遺障害認定は,非常に高度な医学的知識を必要と

         します。そのため,同じ弁護士でも評価が分かれます。当事務所

         の弁護士は,交通事故事案を専門として扱う弁護士事務所に所属

         していた経験もあり,多くの専門家からそのノウハウについて高

         い評価を頂いております。

        4 高い顧客満足度

          当事務所は多くの交通事故被害者の救済を実現しており,多く

         のお客様から高い評価をいただいております。津山市内のみなら

         す,真庭市や美作市など,周辺地域の皆様からも支持されており

         ます。

        5 岡山県北の方にご利用いただきやすい好アクセス

          当事務所は印庄インター・津山インターから車で10分のアク

         セスしやすい立地に事務所を構えております。遠方からお越しの

         方も,手軽にアクセスいただけます。

        6 弁護士と直接面接が可能

          当事務所では,担当弁護士が交通事故の被害者に皆様,家族の

         皆様と直接面談を行い,ご相談をお受けしております。これは,

         地域密着型の事務所だからこそ実現可能なことであり,法律事務

         所の中には初回の面談に弁護士が同席しない,と言う事務所も少

         なくないようですが,弁護士と直接することで,その後の方針や

         対策を明確にすることができます。

               (懲戒請求者事件甲2の1,2の2。下線引用者)

 

        弁護士ドットコムにおいては「当事務所所属の弁護士は,年間平均5

       0件以上の交通事故案件を担当してきております。」とされていたの

       が,本件サイトにおいては「当事務所は,これまでに交通事故問題に

       関する相談を60件以上お受けしております。」とされていることに

       代表されるように,本件サイトの内容はもっぱら「当事務所」の「交

       通事故の圧倒的経験と実績」を宣伝することに重点が置かれており,

       「当事務所の弁護士」については「専門家から評価されるノウハウ」

       について言及しているのみで,本件サイト以前の広告に見られた「当

       事務所所属の弁護士」の実績についての言及はない。

        本件サイトが「当事務所」の「交通事故の圧倒的経験と実績」を宣

       伝するのみで,「当事務所所属の弁護士」の実績についての言及がな

       いのは,実は当然なことである。

        懲戒請求者が本件サイト以前の広告において「当事務所所属の弁護

       士」の実績を宣伝しなければならなかったのは,当時,西村綜合法律

       事務所には「当事務所」の実績といえるものは存在せず,インターネ

       ット上の広告によって集客を図るためには,一法師が東京の弁護士法

       人法律事務所Astiaに在籍していた時期の実績を「当事務所所属の弁

       護士」の実績として宣伝し,一般市民にそれが西村綜合法律事務所が

       示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件であると誤認させる

       ような広告をするほかなかったのに対し,本件サイトが開設された時

       点では,西村綜合法律事務所が設立されてから2年半以上が経過して

       おり,本来ならば,もはや一法師が東京の弁護士法人法律事務所Astia

       に在籍していた時期の実績を「当事務所所属の弁護士」の実績として

       宣伝しなくても,西村綜合法律事務所の設立以降の「当事務所」の

       「交通事故の圧倒的経験と実績」を宣伝すれば足りたからである。

        かかる本件サイトの内容を集約して表現しているものこそ,トップ

       ページの上部の「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償

       金の増額実績多数」という表示にほかならない。

       (それにもかかわらず,懲戒請求者が,本件サイトの開設にあたり,本

       件サイトの開設から2年半以上も前の一法師が東京の弁護士法人法律

       事務所Astiaに在籍していた時期に関与した「4件の事件」を「最新」

       の「解決事例」として表示し,西村綜合法律事務所が示談交渉を受任

       し,賠償金の増額を実現した最新の解決事例として表示しなければな

       らなかったのは,本件サイトにおいて,西村綜合法律事務所が,交通事

       故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅

       な賠償金の増額実績多数」を有するという宣伝を行うためには,「4件

       の事件」を「解決事例」のページに表示することにより,「解決事例」

       の件数の水増しを行う必要があったためであることについては,懲戒

       請求者事件についての岡山弁護士会の決定に対する被懲戒請求者の日

       本弁護士連合会の異議申出書において詳論している。)

      4 綱紀委員会の議決の不当性

        被懲戒請求者は,懲戒請求者が本件サイトにおいて「4件の事件」を

       「解決事例」として表示しているということから,直ちに本件サイト

       の懲戒請求者の広告をサギ広告と断定しているのではない。

        被懲戒請求者が,同じように「4件の事件」を「成功事例」,「解

       決事例」としてインターネット上の広告に表示しているにもかかわら

       す,本件サイト以前の懲戒請求者の広告については問題とせず,本件

       サイトの懲戒請求者の広告を悪質なサギ広告とするのは,上記のよう

       に,本件サイト以前の広告については,「4件の事件」を「当事務所所

       属の弁護士」の実績として表示しており,それは一法師の過去の実績

       を表示したものであって,西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,

       賠償金の増額を実現した事件として表示したものではないという弁明

       が成り立たないものではないのに対し,本件サイトについては,トッ

       プページの「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の

       増額実績多数」という表示から,「解決事例」のページの「4件の事

       件」の表示は,西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増

       額を実現した事件として表示しているものとしてしか解釈できないか

       らである。

        綱紀委員会の議決は,上記の被懲戒請求者の主張における最重要な

       論点を無視し,問題を弁護士法人がその広告において所属弁護士の過

       去の実績を「解決事例」として表示すること一般の当否にすり替えて

       いるものであるが,その結論自体も不当なものであるといわざるをえ

       ないものである。

        綱紀委員会の議決書は,「西村綜合法律事務所やその所属弁護士が

       全く関与していない事例を取扱い事例として広告した場合には,「サ

       ギ広告」の評価を受け得るが,所属弁護士が関与した事例である以上

       ,弁護士法人及び所属弁護士の取扱事例を説明したものということが

       でき,「サギ広告」との評価をすべきものとは解されない。」とする。

        本件サイトは,トップページに「岡山県北有数のご相談・解決実績」,

       「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示がある以上,「解決事例」

       のページの「4件の事件」の表示は,西村綜合法律事務所が示談交渉を

       受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示しているものとして

       しか解釈できないものであるが,仮にトップページに上記のような表

       示がなかったならば,綱紀委員会の議決書が述べるように,弁護士法

       人がその広告において所属弁護士が過去に別の法律事務所に所属して

       いた時期に関与した事件を「解決事例」として表示しても,「所属弁護

       士が関与した事例である以上,弁護士法人及び所属弁護士の取扱事例

       を説明したものということができ,「サギ広告」との評価をすべきもの

       と解されない。」といえるのであろうか。

        弁護士等の業務広告に関する規程に基づき,規程の解釈及び運用に

       ついての指針を定めることを目的として平成24年3月15日理事会

       決議された「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に

       関する指針」は,「弁護士等の品位保持の目的は,国民の弁護士に対す

       る信頼を維持することにあると考えられることから,品位を損なうお

       それのある広告であるか否かは,弁護士等の立場から判断するのでは

       なく,広告の受け手である国民から見た場合に弁護士等に対する信頼

       を損なうおそれのある広告であるか否かという視点で判断する。」も

       のとしている。

        被懲戒請求者は,綱紀委員会の判断は,上記「指針」の趣旨を没却し

       ているものであると考える。

        なぜなら,「広告の受け手である国民から見た場合に弁護士等に対

       する信頼を損なうおそれのある広告であるか否かという視点で判断す

       る」ならば,弁護士法人の広告において何の限定もなく「解決事例」 

       として表示されていれば,広告の受け手である一般市民としては,それ

       を当該弁護士法人が受任し,解決した事件であると考えるのが当然で

       あり,真実には,当該弁護士法人が受任し,解決事件ではなく,所属弁

       護士が過去に別の法律事務所に在籍していた時期に関与した事件であ

」      っても,「所属弁護士が関与した事例である以上,弁護士法人及び所属

       弁護士の取扱事例を説明したものということができ,「サギ広告」との

       評価をすべきものとは解されない。」というのは,問題をもっぱら「弁

       護士等の立場から判断」しているものであって,「広告の受け手である

       国民」の立場を無視しているものだからである。

        綱紀委員会の議決書が述べるように,弁護士法人がその広告におい

       て所属弁護士が過去に別の法律事務所に在籍していた時期に関与した

       事件を「解決事例」として表示しても,「所属弁護士が関与した事例で

       ある以上,弁護士法人及び所属弁護士の取扱事例を説明したものといは

       うことができ,「サギ広告」との評価をすべきものとは解されない。」

       のであれば,懲戒請求者は,「4件の事件」を平成27年サイトや弁護

       士ドットコムに「成功事例」,「解決事例」として表示するにあたり,

       わざわざ「当事務所所属の弁護士」の実績という表示をしなければな

       らない理由はなかった。

        懲戒請求者が,「4件の事件」を平成27年サイトや弁護士ドットコ

       ムに「成功事例」,「解決事例」として表示するにあたり,「当事務所

       所属の弁護士」の実績という表示をしなければならなかったのは,「当

       事務所所属の弁護士」という表示により,それが一法師の過去の実績を

       表示したものであって,西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠

       償金の増額を実現した事件として表示したものではないという弁明の

       余地を残さない限り,「4件の事件」を西村綜合法律事務所のインター

       ネット上の広告に「成功事例」,「解決事例」として表示することは,

       西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事

       件として表示したものとみなされ,「サギ広告」という批判を受けるこ

       とは免れないことを懲戒請求者も認識していたからであって,それが,

       「広告の受け手である国民」の認識であると解される。

        ところが,本件サイトには平成27年サイトや弁護士ドットコムに

       見られた「当事務所所属の弁護士」の実績についての言及はなく,本件

       サイトの内容はもっぱら「当事務所」の「交通事故の圧倒的経験と実

       績」を宣伝しているものなのであるから,その点からいっても,本件サ

       イトの「解決事例」のページの「4件の事件」の表示は,西村綜合法津ほ

       事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示

       しているもの解釈するほかなく,本件サイトの懲戒請求者の広告はサ

       ギ広告とい批判は免れないものである。

      5 結論

        仮に,津山市内の工務店が,インターネット上の広告において,同

       社が住宅建築について「岡山県北有数の施工実績」を有すると宣伝し,

       「最新」の「施工事例」として7軒の住宅を表示していたが,真実に

       は,7軒の住宅のうち同社が施工した岡山県北の住宅は3軒にすぎず,

       4軒の住宅は同社の従業員が過去に東京の大手工務店に勤務していた

       時期に施工に関与した住宅を同社が施工したものであるかのように偽

       装しているものであったならば,そのことを知った津山市民は,間違

       いなく同社の広告を「サギ広告」というはずである。

           懲戒請求者が行ったことは,上記の工務店が行ったこととまったく

       変わりがないのである。    

        ところが,岡山弁護士会の綱紀委員会は,懲戒請求者事件について

       は,本件サイトの「解決事例」のページの「4件の事件」の表示は,「画

       面上,対象弁護士法人が取り扱った相談との限定は付されていない」

       ことを理由として,「本件で問題となった交通事故4件は,対象弁護

       士一法師が対象弁護士法人とは異なる法律事務所に在籍していた時期

       に取り扱った案件であるが,対象弁護士法人の処理案件として表示し

       たものではない。」とし,本件については,「西村綜合法律事務所や

       その所属弁護士が全く関与していない事例を取り扱い事例として広告

       した場合には,「サギ広告」の評価を受け得るが,所属弁護士が関与

       した事例である以上,弁護士法人及び所属弁護士の取扱事例を説明し

       たものということができ,「サギ広告」との評価をすべきものとは解

       されない。」とする。

        綱紀委員会の判断は,上記の工務店の例でいえば,懲戒請求者事件

       については,工務店のサイトの「施工事例」のページに「当工務店の

       施工事例」という表示がないことを理由として当該工務店の施工事例

       として表示したものではないとするに等しく,本件については,当該

       工務店やその従業員とまった無関係な住宅を「施工事例」として表示

       することは「サギ広告」の評価を受け得るが,従業員が施工に関与して

       いる以上は,「サギ広告」ではないとするに等しい。

        綱紀委員会の判断は,いずれも,「弁護士等の品位保持の目的は,国

       民の弁護士に対する信頼を維持することにあると考えられることから,

       品位を損なうおそれのある広告であるか否かは,弁護士等の立場から

       判断するのではなく,広告の受け手である国民から見た場合に弁護士

       等に対する信頼を損なうおそれのある広告であるか否かという視点で

       判断する。」という前記「指針」の趣旨を没却しているものであると

       いわざるをえないものである。

        被懲戒請求者は,なぜ,明らかなサギ広告を行っている懲戒請求者

       が懲戒処分の対象とはならず,懲戒請求者がサギ広告を行っている事

       実を津山市民に告発した被懲戒請求者の行為が「品位を失うべき非行」

       として懲戒処分の対象となるのか,まったく理解できない。

     第2 懲戒請求事実1⑵

        本件サイトの懲戒請求者の広告が悪質なサギ広告というほかないも

       のであることは,本弁明書及び懲戒請求者事件についての岡山弁護士

       会の決定に対する被懲戒請求者の日本弁護士連合会への異議申出書に

       記載のとおりである。

        被懲戒請求者が,懲戒請求者が悪質なサギ広告を行っており,それ

       について被懲戒請求者が岡山弁護士会に対し懲戒処分を請求したとい

       う重大な事実を同僚である津山の弁護士に告知したのは,当然のこと

       である。

     第3 懲戒請求事実1⑶

        そもそも,弁護士の守秘義務からすれば,被懲戒請求者が懲戒請求

       者の顧問先を認識しているということはおかしく,被懲戒請求者が懲

       戒請求者の顧問先を認識していたのは,懲戒請求者が,弁護士の守秘

       義務に違反して,顧問先をその承諾なく懲戒請求者のインターネット

       上の広告に表示し,いわば「広告塔」としていたからである(乙6)。

        被懲戒請求者が懲戒請求者の顧問先に文書を送付したのは,懲戒請

       求者により「広告塔」とされている懲戒請求者の顧問先に対し,懲戒

       請求者がインターネット上で常習的にサギ広告を行っており,これに

       対し被懲戒請求者が弁護士会に対する懲戒処分の請求等の措置をとっ

       た事実は通知して置いたほうがよいと考えたためである。

        綱紀委員会の議決書は,被懲戒請求者が顧問先に対する文書におい

       て,「当職の今回の措置により,弁護士法人西村綜合法律事務所と顧

       問契約を締結されている貴社にも,今後少なからぬ影響が生じること

       になると思いますが,当職の措置は津山の弁護士の信用と秩序を維持

       するためのやむを得ないものでありますので,ご了解ください。」と

       述べたことについて,「対象弁護士は,当該文書中に,津山の弁護士

       の信用と秩序を維持するためであるとの主張をしているが,かかる職

       責は弁護士会が行うとことであるところ,懲戒請求者の広告の是非に

       対しいまだいかなる公的機関の判断もなされていなかったのであるか

       ら,対象弁護士が先んじて懲戒請求者の名誉を侵害し,業務を妨害し

       てまで懲戒請求者に制裁を加えることは許されない。」とするが,上

       記文書にいう「当職の今回の措置」とは,被懲戒請求者が弁護士会に

       対し懲戒請求者の懲戒処分を請求する等の措置をとったことについて

       述べているものであることは文理上明らかである。

        なお,懲戒請求者が弁護士の守秘義務に違反して,顧問先をその承

       諾なくインターネット上の広告に表示し,懲戒請求者の「広告塔」と

       している問題については,被懲戒請求者は岡山弁護士会に対し西村綜

       合法律事務所及び懲戒請求者の懲戒処分を請求中である(2019年

       岡弁(綱)第20,21号事件)。

     第4 懲戒請求事実2

        綱紀委員会の調査期日において,「懲戒請求者に連絡を取らずに直

       接書面を送付したのは,裁判所に掲示されている開廷表から,山本工

       務店は懲戒請求者以外の弁護士を代理人とするようになっていると認

       識したので,依頼関係はないだろうと考えたからである」旨を述べた

       のは,被懲戒請求者の錯誤であった。

        同事件の上告審判決(丙3)を確認したところ,山本工務店の代理

       人として懲戒請求者の名は記載されておらず,同判決書を見て懲戒請

       求者と山本工務店との間の代理関係は消滅していると判断したのが,

       被懲戒請求者が山本工務店に対し直接文書を送付した理由であったと

       思われる。

        懲戒請求者が被懲戒請求者の山本工務店宛の文書の写しを所持して

       いる理由は不明であるが,当時,懲戒請求者と山本工務店との間に代

       理関係が存在したのであれば,被懲戒請求者が山本工務店に対し文書

       を送付した後,懲戒請求者から被懲戒請求者に対し,懲戒請求者を攻

       撃する内容の文書を山本工務店に対し直接送付したことについて抗議

       するとともに,上告審判決により控訴審判決が確定した以上,工事代

       金の支払いを請求する文書が送付されてしかるべきであるが,被懲戒

       請求者は懲戒請求者から本件に関し何の文書の送付も受けていない。 

        このことは,懲戒請求者と山本工務店との間の代理関係が当時消滅

       していたことを証明するものである。

                                               以 上