岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所  

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岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所

 

岡山弁護士会の懲戒処分の取消を求める日弁連に対する審査請求書

           

                                       審 査 請 求 書

                          

                                                                     令和2年9月10日

 

    日本弁護士連合会 御中

 

     〒708-0004 岡山県津山市山北560番地4 ムサシノビル6階 

                (「津山総合法律事務所」は現在業務停止中)

                審査請求人  黒   田       彬 ㊞

                                   岡山弁護士会所属

 

               

 審査請求に係る処分の内容

 

     対象弁護士黒田彬を3月の業務の停止とする旨の岡山弁護士会の懲戒処分

    

           審査請求に係る処分があったことを知った年月日

 

                  令和2年7月9日

 

               処分庁の教示の有無及びその内容

      

      前項の通知には,処分に対しては,行政不服審査法の規定に従い,処分

     があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に日本弁護士連合

     会に審査請求をすることができる旨の教示があった。

 

                   審査請求の趣旨

      

      岡山弁護士会の対象弁護士黒田彬を3月の業務の停止とする旨の懲戒処

     分を取り消す。

 

                   審査請求の理由

 

      

      1 問題の所在

        岡山弁護士会は,令和2年7月3日,懲戒委員会の議決に基づき,

       審査請求人を3月の業務の停止とする懲戒処分に処した。

        懲戒委員会の議決書によれば,同委員会が審査請求人を3月の業務

       の停止という重い懲戒に処することを相当と認めた理由は以下のとお

       りである。

 

          以上のとおり対象弁護士の行為のうち,懲戒事由1ないし3及

         び5の行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての「

         品位を失うべき非行」に該当すると判断する。そして,懲戒請求

         理由1ないし3の一連の行為は度を超えたもので弁護士として著

         しく品位を欠き,また懲戒請求者らだけでなく周囲に与えた影響

         も大きいこと,弁護士に対する信頼を大きく損なう行為であるこ

         と,対象弁護士にはこれらの行為に対する反省が全く認められな

         いことを考慮すると,対象弁護士を3月の業務の停止に処するこ

         とを相当と認め,主文のとおり議決する。

                              (同書・24頁)

 

        上記によれば,懲戒委員会が審査請求者を3月の業務の停止という

       重い懲戒に処することを相当と認めた理由は,「懲戒請求事由1ない

       し3の一連の行為」を理由とするものであるが,それはいずれも審査

       請求人が弁護士法人西村綜合法律事務所(代表弁護士西村啓聡。以下

       「西村綜合法律事務所」という。)のインターネット上の広告を「サ

       ギ広告」と批判した行為にかかわるものである。

        審査請求人は,西村綜合法律事務所が平成29年8月頃「津山の弁

       護士による交通事故・後遺障害相談(弁護士法人西村綜合法律事務所)」

       と題するインターネット上のサイト(以下「本件サイト」という。)を

       開設するにあたり,弁護士一法師拓也が平成27年2月18日に西村

       綜合法律事務所の社員となる以前に東京の弁護士法人法律事務所A

       stiaに勤務弁護士として在籍していた時期に関与した4件の事件(以

       下「4件の事件」という。)を「最新」の「解決事例」として表示し,

       それが,西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実

       現した最新の解決事例であると誤認させるような表示をしたことを,

       「弁護士及び弁護士法人の品位を毀損するおそれのある広告」を禁止

       する岡山弁護士会会則第9条⑷に違反するものとして,岡山弁護士会

       に対し西村綜合法律事務所及び弁護士西村啓聡,一法師拓也の両名の

       懲戒を請求した(岡弁2019年第5~7号事件)。 

        本件懲戒請求事件は,審査請求人が岡山弁護士会に西村綜合法律事

       務所等の懲戒請求をした事実を審査請求人の事務所のインターネット

       上のサイトで一般市民に公開し,その際に本件サイトの広告を「サギ

       広告」と批判した等の行為が,弁護士の「品位を失うべき非行」に該

       当するとして,弁護士西村啓聡が審査請求人の懲戒を岡山弁護士会に

       請求したものである。

        したがって,以下では,問題を審査請求人が本件サイトの西村綜合

       法律事務所の広告を「サギ広告」と批判した行為の当否に限定して,

       懲戒委員会の議決書に対する審査請求人の反論を述べることにする。

      2 懲戒委員会の議決書の事実の歪曲

        懲戒委員会の議決書によれば,同委員会が審査請求人が本件サイト

       の広告を「サギ広告」と批判した行為が弁護士の「品位を失うべき非

       行」に該当するとする理由は以下のとおりである。

          

          まず,西村綜合法律事務所のウェブサイト上の記事を「サギ広

         告」と断定した表現について検討する。

          平成31年3月8日時点で西村綜合法律事務所の「津山の弁護士

         による交通事故・後遺障害相談」のウェブサイトのうち,「解決

         事例」のページ及び表題が「死亡の事案 示談金額450万円増

         額の例」のページに,交通事故の解決事例が7件掲載されている

         が,このうち4件は本件4事例であり,西村綜合法律事務所で取

         り扱ったものではない。

          西村綜合法律事務所の「津山の弁護士による交通事故・後遺障

         害相談」のウェブサイトのページには,「岡山県北有数のご相談・

         解決実績」とか「交通事故の圧倒的経験と実績」などの記載があ

         り,交通事故の解決に関心をもってこのウェブサイトを閲覧した

         市民は,本件4事例をも西村綜合法律事務所において取り扱った

         事例の例示として認識するのが自然である。

          また,弁護士ドットコムの懲戒請求者のサイトに掲載されてい

         る3事例は,本件4事例のうち3事例であるが,同サイトを見る

         限り,懲戒請求者自身が取り扱って解決したものとしか受け取れ

         ない。

          したがって,西村綜合法律事務所及び弁護士ドットコムの上記

         ウェブサイトの本件4事例に関わる各記載は,西村綜合法律事務

         所や懲戒請求者が取り扱っていなかった事例を西村綜合法律事務

         所あるいは懲戒請求者が解決したものであるかのように誤認させ

         る広告である。

          しかしながら,本件4事例を取り扱った一法師弁護士は現に西

         村綜合法律事務所に勤務する弁護士で,交通事故の取扱実績も多

         く,弁護士法人としての西村綜合法律事務所には本件4事例を含

         む交通事故事案の経験豊富な弁護士が在籍していることに偽りは

         ないから,交通事故事案の経験が乏しいのに経験のある事務所で

         あるかのように見せかけて依頼へ導くといった類のものではなく,

         また,交通事故事案の未経験であることに伴う実害を生じさせる

         おそれもない。

          したがって,西村綜合法律事務所等のウェブページにおいて本

         件4事例を同事務所の解決事例であるように掲載したことは,記

         載の仕方として適切とは言えないとしても,詐欺などと評価され

         る程のものではなく,これを捉えて「サギ広告」であると決めつけ,

         「弁護士でありながら,サギ師同然の行為を行って恥じることの

         ない輩」などと懲戒請求者らが詐欺を行っている者であるかのよ

         うに貶める攻撃的言辞はあまりにも行き過ぎたもので,同僚の弁

         護士である懲戒請求者らを不当に誹謗,中傷するものであると言

         わざるを得ない。

                           (同書・20~21頁)

 

        しかし,上記の懲戒委員会の議決書には事実の歪曲がある。

        審査請求人は,「西村綜合法律事務所等のウェブページにおいて本

       件4事例を同事務所の解決事例であるように掲載したこと」を,「こ

       れを捉えて「サギ広告」であると決めつけ」るようなことはしていな

       いからである。

        審査請求人は,本件サイトの広告を批判するにあたり「サギ広告」

       という語を使用したことについて,令和2年3月23日の審査期日に

       おいて懲戒委員から問題とされたため,懲戒委員会に対し同年3月2

       6日付主張書面を提出し,「サギ広告」という語の意味について以下

       のように釈明している。

 

          被懲戒請求者のいう「サギ広告」とは,被懲戒請求者のサイト

         で明言しているように,「弁護士法人西村綜合法律事務所が行っ

         ている「サギ広告」とは,同弁護士法人が開設した「津山の弁護

         士による交通事故・後遺障害相談(弁護士法人西村綜合法律事務

         所)」と題するインターネット上のサイトにおいて,同弁護士法

         人が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・

         解決実績」を有し,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有すると

         宣伝し,「最新」の「解決事例」として7件の事件を表示してい

         るが,真実には,7件の事件のうち,同弁護士法人が示談交渉を

         受任した事件は3件にすぎず,4件の事件は,一法師が同弁護士

         法人の社員となる以前に東京の法律事務所に勤務弁護士として在

         籍していた時期に関与した事件を,同弁護士法人が受任した事件

         であるかのように偽装しているものである」ことを指すものであ

         る。

          被懲戒請求者が岡弁2019年(綱)第5~7号事件において

         懲戒事由として主張しているのは,上記のうちの下線の部分であ

         って,被懲戒請求者が「サギ広告」としている事実と同一ではな

         い。

          本件サイトが一法師が同弁護士法人の社員となる以前に東京の

         法律事務所に勤務弁護士として在籍していた時期に関与した「4

         件の事件」を,西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金

         の増額を実現した「最新」の「解決事例」として表示しているこ

         とは,客観的に虚偽の表示をしているものであるが,東京の法律

         事務所に在籍していた時期に関与したものであれ,西村綜合法律

         事務所に入社以降に関与したものであれ,「4件の事件」が一法師

         が担当した事件であることは間違いなく,表示されている事実が

         虚偽であるとしても,一法師が交通事故事件について経験がない

         にもかかわらず,交通事故専門の弁護士であると誤認させるよう

         なケースに比較すれば,その内容自体は必ずしも悪質なものとは

         いえないものである。

          本件サイトが悪質である理由は,「4件の事件」を西村綜合法

         律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した「最新」

         の「解決事例」として表示していること自体にあるのではなく,

         それによって,「最新」の「解決事例」を水増しし,真実には,

         本件サイト開設時には西村綜合法律事務所には「大幅な賠償金の

         増額実績」として宣伝できる事件はせいぜい3件しか存在しなか

         ったにもかかわらず,トップページにおいて,「岡山県北有数の

         ご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」という宣

         伝を行っている点にある。

                             被懲戒請求者が本件サイトの広告について「虚偽広告」でなく,

         「サギ広告」という語を使用したのは,本件サイトにおいて「4

         件の事件」を西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の

         増額を実現した「最新」の「解決事例」として表示していること

         は,客観的に虚偽の表示をなしているものであるが,本件サイト

         の広告が悪質である理由は,「4件の事件」を西村綜合法律事務

         が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示し

         ていること自体にあるのではなく,それが,西村綜合法律事務所

         が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・解

         決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有するという宣伝

         を行うための巧妙なからくりの一部として,意識的に行われてい

         るということにあるという事情を,「虚偽広告」という語では十

         分に伝えきれないからである。

                             (同書・1~3頁)

        

        審査請求人が上記で釈明しているように,審査請求人のいう「サギ

       広告」とは,本件サイトの広告が,西村綜合法律事務所が,交通事故

       の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な

       賠償金の増額実績多数」を有すると宣伝し,「最新」の「解決事例」

       として7件の事件を表示しているが,真実には,7件の事件のうち,

       西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した岡

       山県北の事件は3件にすぎず,4件の事件は一法師が西村綜合法律事

       務所に入所する以前に東京の法律事務所に在籍していた時期に関与し

       た事件を西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実

       現した「最新」の「解決事例」として偽装しているものである事実を

       問題としているものであって,審査請求人は,本件サイトが「4件の

       事件」を西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実

       現した事件として表示しているということを「サギ広告」と批判して

       いるのではない。

        審査請求人が岡弁2019年(綱)第5~7号事件の懲戒請求事由

       としている事実は,本件サイトが「4件の事件」を西村綜合法律事務

       所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した「最新」の「解決事

       例」として表示しているという事実であるが,それは,本件サイトが

       西村綜合法律事務所が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有

       数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有する

       と宣伝していることは,誇大広告というべきものであるが,評価的要

       素を含むものであるため,虚偽の表示とまでは断定し難く,懲戒請求

       事由としては,客観的に虚偽の表示をしていることが明らかな,本件

       サイトが「4件の事件」を西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,

       賠償金の増額を実現した「最新」の「解決事例」として表示している

       という事実のみ問題とせざるをえなかったためである。

        しかし,本件サイトが「4件の事件」を西村綜合法律事務所が示談

       交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示していること

       は客観的に虚偽の表示をしているものではあるが,「4件の事件」が

       一法師が担当した事件であることは間違いないため,それ自体として

       は必ずしも悪質とはいえないものであることは,審査請求人が令和2

       年3月26日付主張書面において認めていることであり,本件サイト

       の広告の悪質性は,「4件の事件」を西村綜合法律事務所が示談交渉

       を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示していること自体

       にあるのではく,それによって,「解決事例」の件数を水増しし,西

       村綜合法律事務所が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数

       のご相談・解決実績」,「大幅なな賠償金の増額実績多数」を有する

       という宣伝を行っていることにある。

        比喩的に言えば,審査請求人のいう「サギ広告」とは,本件サイト

       が「4件の事件」を西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金

       の増額を実現した「最新」の「解決事例」として表示しているという

       事実を,岡弁2019年(綱)第5~7号事件の懲戒請求の「要件事実」

       として主張する場合に,それだけでは十分に表現できない本件サイト

       の広告の悪質性を「事情」として主張しているものであって,審査請

       請求人は,本件サイトが「4件の事件」を西村綜合法律事務所が示談交

       渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示していること自

       体を「サギ広告」としているのではないのである。

        審査請求人は上記の立場を岡弁2019年(綱)第5~7号事件及

       び本件の手続を通じて一貫させている。

        懲戒委員会の議決書が,審査請求人が,「西村綜合法律事務所等の

       ウェブページにおいて本件4事例を同事務所の解決事例であるように

       掲載したこと」を,「これを捉えて「サギ広告」であるいと決めつけ」

       たとしているのは,事実を歪曲しているというほかないものである。

                     (注)審査請求人が岡弁2019年(綱)第5~7号事件及び本件の

         手続に提出した文書のうち,例外的に,「4件の事件」を西村綜

         合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件

         として表示していること自体を「サギ広告」としているのは,岡

         弁2019年(綱)第5~7号事件の平成31年4月8月付主張

         書面である。

          審査請求人は,上記主張書面において,西村綜合法律事務所が

         本件サイトの開設以前から「4件の事件」を西村綜合法律事務所

         が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件であると誤認

         させるような広告をインターネット上で常習的に行っていたこと

         を強調するあまり,本件サイトの広告と本件サイト以前の西村綜

         合法律事務所のインターネット上の広告とを一括して,「サギ広

         告」とするという筆の滑りを犯している。

          しかし,上記主張書面の審査請求人の主張は,岡弁2019年

         (綱)第5~7号事件及び本件の審査請求人の主張の中では例外

         的なものであり,審査請求人は,その後の岡弁2019年(綱)

         第5~7号事件の懲戒請求者らを懲戒しない旨の岡山弁護士会の

         決定についての日本弁護士連合会に対する異議申出書(審査請求

         人は同異議申出書の写しを本件の手続にも提出している。)や本

         件の懲戒委員会に対する弁明書において,あらためて,西村綜合

         法律事務所のインターネット上の広告のうち審査請求人が「サギ

         広告」とするのは本件サイトの広告のみであり,本件サイトの広

         告を「サギ広告」とする理由は,「4件の事件」を西村綜合法律

         事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した「最新」の

         「解決事例」として偽装することによって,「解決事例」の件数

         を水増しし,西村綜合法律事務所が,交通事故の示談交渉につい

         て,「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増

         額実績多数」を有するという宣伝を行っていることにあることを

         明確にしている。

                   3  懲戒委員会の議決書の詭弁的な論理

        懲戒委員会の議決書は,「西村綜合法律事務所等のウェブページに

       おいて本件4事例を同事務所の解決事例であるように掲載したことは

       ,記載の仕方として適切とは言えないとしても,詐欺などと評価され

       る程のものではな」いとする。

       (注)懲戒委員会の議決書が「西村綜合法律事務所等のウエブページ」

         としているのは,審査請求人が本件サイトだけでなく弁護士ドッ

         トコムの懲戒請求者のサイトについても「サギ広告」と批判した

         としているためである。

          しかし,審査請求人が弁護士ドットコムの懲戒請求者のサイト

         を「サギ広告」としているのは,岡弁2019年(綱)第5~7号

         事件の平成31年4月8日付主張書面のみであり,同主張書面の

         審査請求人の主張は前記のように審査請求人の主張の中では例外

         的なものであって,審査請求人は同主張書面以外では弁護士ドッ

         トコムの懲戒請求者のサイトはまったく問題としていない。

        懲戒委員会の議決書が上記のように判断する理由は,「本件4事例

       を取り扱った一法師弁護士は現に西村綜合法律事務所に勤務する弁護

       士で,交通事故の取扱実績も多く,弁護士法人としての西村綜合法律

       事務所には本件4事例を含む交通事故事案の経験豊富な弁護士が在籍

       していることに偽りはないから,交通事故の経験が乏しいのに経験の

       ある事務所であるかのように見せかけて依頼へ導くといった類のもの

       ではなく,また,交通事故事案の未経験であることに伴う実害を生じ

       させるおそれもない」というものである。

        上記の懲戒委員会の議決書の論理は,本件サイトの広告が西村綜合

       法律事務所に「交通事故事案の経験豊富な弁護士が在籍していること」

       を宣伝しているものであるならば,成り立たないものではない。

       (注)弁護士ドットコムの懲戒請求者のサイトは、西村綜合法律事務

         所に「交通事故事案の経験豊富な弁護士が在籍していること」を

         宣伝しているものである。

          懲戒委員会の議決書が,岡弁2019年(綱)第5~7号事件

         の平成31年4月8日付主張書面の審査請求人の主張が審査請求

         人の主張の中では例外的なものであるにもかかわらず,もっぱら

         同主張書面に依拠して,審査請求人が弁護士ドットコムの懲戒請

         求者のサイトについても「サギ広告」と批判したとしている理由

         はおそらく上記の点にある。

        しかし,本件サイトの広告は,西村綜合法律事務所に「交通事故事

       案の経験豊富な弁護士が在籍していること」を宣伝しているものでは

       ない。

        本件サイトの広告が宣伝しているのは,西村綜合法律事務所が,交

       通事故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・解決実績」,

       「大幅な賠償金の増額実績多数」を有する法律事務所であるというこ

       とである。

        本件サイトを閲覧する者は,本件サイトの「解決事例」のページに

       表示されている事件を,西村綜合法律事務所の「岡山県北有数のご相

       談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」の具体例を表示して

       いるものと考える。

        本件サイトを閲覧する者は,「解決事例」のページに7件の事件が

       「最新」の「解決事例」として表示されており,その中には990万

       円という多額の賠償金の増額を実現した事件もあることを見て,西村

       綜合法津事務所が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数の

       ご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有するとい

       う本件サイトの宣伝を真実であると考えるのである。

        ところが,真実には,7件の事件のうち,西村綜合法律事務所が示

       談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した岡山県北の事件は3件にす

       ぎず,990万円という多額の賠償金の増額を実現した事件を含む4

       件の事件は,本件サイトの開設より3年も4年も前の一法師が東京の

       法律事務所に在籍していた時期に関与した事件を,西村綜合法律事務

       所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した「最新」の「解決事

       例」として偽装しているものなのである。

        本件サイトの広告は,広告の受け手である市民の弁護士の選択に影

       響を及ぼす内容の重要な部分において意図的に虚偽の表示を行い,不

       当に顧客を誘引しているものであって,審査請求人は,審査請求人が

       本件サイトの広告を「サギ広告」と批判し,懲戒請求者らを「弁護士

       でありながら,サギ師同然の行為を行って恥じることのない輩」と批

       判したことが,懲戒委員会の議決書が主張するように,「あまりに行

       き過ぎたもので,同僚の弁護士である懲戒請求者らを不当に誹謗,中

       傷するもの」であったとは思わない。

                       本件サイトの広告を「西村綜合法律事務所等のウェブページにおい

       て本件4事例を同事務所の解決事例であるように掲載したことは,記

       載の仕方として適切と言えないとしても,詐欺などと評価される程の

       ものではない」と擁護し,これを「サギ広告」と批判した審査請求人

       の行為は弁護士の「品位を失うべき非行」に該当するとする懲戒委員

       会の議決書の論理は,本件サイトの広告が,西村綜合法律事務所が,

       交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・解決実績」,

       「大幅な賠償金の増額実績多数」を有する法律事務所であると宣伝し

       ているものであることを無視しているものであって,詭弁というほか

       ないものである。

      4 結論

        審査請求人が本件サイトの西村綜合律事務所の広告を「サギ広告」

       と批判したのは,本件サイトの広告が,西村綜合法律事務所が,交通事

       故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅

       な賠償金の増額実績多数」を有すると宣伝し,「最新」の「解決事例」

       として7件の事件を表示していたが,真実には,7件の事件のうち,西

       村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した岡山

       県北の事件は3件にすぎず,4件の事件は一法師が西村綜合法律事務

       所に入所する以前に東京の法律事務所に在籍していた時期に関与した

       事件を西村綜合法律事務所が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現

       した「最新」の「解決事例」として偽装したものであったことを問題

       としたものであり,審査請求人はそのことを岡弁2019年(綱)第

       5~7号事件及び本件の手続を通じて一貫して主張している。

        ところが,懲戒委員会の議決書は,これを,審査請求人が,「西村

       綜合法律事務所等のウエブページにおいて本件4事例を同事務所の解

       決事例であるように掲載したこと」を,「これを捉えて「サギ広告」

       であると決めつけ」たものと事実を歪曲したうえ,本件サイトの広告

       が,西村綜合法律事務所が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北

       有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有す

       る法律事務所であると宣伝しているものであることは無視して,「西

       村合法律事務所所等のウェブページにおいて本件4事例を同事務所の

       解決事例であるように掲載したことは,記載の仕方として適切とは言

       えないとしても,詐欺と評価する程のものではない」と擁護し,これ

       を「サギ広告」と批判した審査請求人の行為は弁護士の「品位を失う

       べき非行」に該当するとする。

        本件サイトの広告を「サギ広告」と批判した審査請求人の行為が弁

       護士の「品位を失うべき非行」に該当し,審査請求人を3月の業務の

       停止の懲戒に処することを相当とする懲戒委員会の議決書は,上記の

       ような事実の歪曲と詭弁的な論理の上に成り立っている不当な内容の

       ものであり。

        かかる不当な内容の懲戒委員会の議決書に基き,審査請求人を3月

       の業務の停止という重い懲戒に処している岡山弁護士会の懲戒処分は

       取り消されなければならない

                                   以 上