岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所  

岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所(所長 弁護士黒田 彬)

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不動産訴訟についての最近の判決2

 

         岡山地裁津山支部平成27年(ワ)第146号所有権移転登記手続請求事件

                            (全部勝訴)

 

       平成29年2月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

     平成27年(ワ)第146号 所有権移転登記手続請求事件

     口頭弁論終結日  平成28年12月21日

                判         決 

       岡山県美作市××××××××××

        (登記簿上の住所)

        ×××××××××××××

                原          告     ×   ×   ×   ×

             同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士              黒   田       彬 

       岡山県津山市××××××××××

                被          告     ×   ×   ×   ×    

                同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士     吉   村       清   人      

                      主         文

        1 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の各不動産について,平成25

         年4月16日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ。

       2 訴訟費用は,被告の負担とする。

               事 実 及 び 理 由

    第1 請求

       主文と同旨

    第2 事実の概要

       本件は,原告が,被告に対し,平成25年4月16日に締結された売買契約  

      に基づき,別紙物件目録記載の各不動産(以下「本件不動産」という。)につ

      いて,同日売買を原因とする所有権移転登記手続を求めた事案である。

     1 争いのない事実等

      ⑴ 本件不動産は,原告の所有であった。

      ⑵ 平成23年2月16日,原告は,岡山地方裁判所津山支部において,本件  

       不動産の強制競売開始決定を受けた。

      ⑶ 原告は,被告に対し,別紙入金目録記載のとおり,合計208万円の金員  

       を振り込んだ。

      ⑷ 平成27年10月16日,原告は,被告に対し,379万円を交付した。

     2 争点

       平成25年4月16日に,原告と被告との間で,本件不動産の売買契約が締   

      結されたか否か。

      (原告の主張)

       平成25年4月16日,原告と被告との間で,以下の内容の本件不動産の売

      買契約が締結された。なお,上記1⑷,⑸の金員は,同売買契約に基づき支払

      ったものである。

      ⑴ 売買愛金 498万円

      ⑵ 売買代金支払方法

        2か月に1度,最低5万円を被告名義の預金口座に振り込む払う方法によ

       る分割払い。

      ⑶ 特約条鋼

       ア 被告が本件不動産の所有権取得に要した諸費用,本件不動産の不動産取

        得税・固定資産税は,原告の負担とする。

       イ 本件不動産の所有権は,売買代金を完済した時点で,被告から原告に移

        転する。

      (被告の主張)

       原告と被告との間で,本件不動産の売買契約は締結されていない。なお,上   

      記1⑷の金員は,本件不動産の賃料として支払われたものであり,同⑸の金員   

      は,原告が一方的に渡したいものにすぎない。

    第3 当裁判所の判断

     1 上記争いのない事項等,証拠(甲8,24ないし27,乙1,被告本人)及

      び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。

      ⑴ 本件不動産は,原告の所有であった。

      ⑵ 平成23年2月16日,原告は,岡山地方裁判所津山支部において,本件

       不動産の強制競売開始決定を受けた。

      ⑶ 被告は,本件不動産を最低落札価格である498万円で落札し,平成24

       年12月10日,本件不動産の所有権を取得し,平成25年2月14日,所

       有権移転登記を経由した。

      ⑷ 原告は,被告に対し,別紙入金目録記載のとおり,合計208万円の金員

       を振り込んだ。

      ⑸ 平成27年10月16日,原告は,被告に対し,379万円を交付した。

      ⑹ 被告は,原告に対し,金額379万円,「美作市○○○○○○○○○○」

       (別紙物件目録記載2の土地),「〃 ○○○○○○○」(同3の土地),

       「〃 ○○○○○○」(同5の土地)などと記載した領収証を交付するとと

       もに,同目録記載2,3及び5の土地の登記識別情報通知を交付した。(甲

       8,24ないい26)

     2 争点について

       上記1の事実を前提に検討するに,原告は,上記1⑷のとおり,平成25年

      4月16日以降,被告に対する金員の支払を継続し,同⑸のとおり,平成27

      年10月16日に379万円を支払い,以後,被告に対する金員の支払を行っ

      ていないこと,被告はこれらについて特に異議を留めるなどしていないことか

      ら,上記各金員は,本件不動産の売買代金を分割払したものであるという原告

      の主張は特に部合理ではないと認められること,同⑸の金員である379万円

      の内訳について,原告は,売買代金残金290万円及び被告から指示された8

      9万円の合計であると主張しているところ,登録免許税等納付書に記載された

      金額の合計が42万0640円(甲17),平成26年度の固定資産税額が2  

      5万4700円(ただし,原告が内金5万円を支払っている。)であることか

      らすると(甲18ないし22,弁論の全趣旨),上記89万円は特に不合理な

      金額ではないと認められることから,これらの事情に鑑みると,原告の被告に   

      対する金員の支払は,売買代金等の支払であったと解するのが合理的であり,

      原告の主張するとおり,平成25年4月16日,原告と被告との間で,本件不

      動産の売買契約が締結されたものと認めることができる。

       なお,被告は,①上記1⑷の金員は,本件不動産の賃料として支払われたも

      のであり,②同⑸の金員は,原告が一方的に渡したものに過ぎないと主張する

      が,⑴について,これらの金員の支払がおよそ2か月に1回である上,1回当

      たりの支払金額が平成25年4月から同年12月までは5万円,平成26年2

      月から同年8月までは10万円,同年10月は20万円,同年12月以降は2  

      5万円と増額されていることに鑑みると,本件不動産の賃料と解するには無理

      があるといわざるを得ないこと,②について,被告の主張を前提にすると,同

      ⑸の金員は被告が受領すべきものではないため,平成27年8月17日以降,

      本件不動産の賃料は支払われていないこととなるにもかかわらず,被告は,原

      告に対し,賃料の督促等は行っていない上,被告は,原告に対し,同⑸の金員

      についての領収証を交付し,未だに子の金員を原告に返還していないこと(甲

      8,27,乙1,被告本人)などの事情に鑑みると,被告の主張には理由がな

      いといわざるを得ない。また,被告は,被告自身が本件不動産の取得を希望し

      ていたなどと主張しているが,別紙物件目録記載1ないし5の土地上に,競売

      の対象とはならない目的外建物があることや,同6の建物の改築等のために約

      500万円ないし600万円が必要であることすら把握していなかったことな

      どの事情に鑑みると(乙1,被告本人,弁論の全趣旨),本件不動産の取得を

      希望していたという被告の主張は,信用性に疑問があるといわざるを得ず,上

      記認定を左右しない。

     3 したがって,原告の請求には理由があるからこれを認容し,主文のとおり判

      断する。

          岡 山 地 方 裁 判 所 津 山 支 部

 

                            裁 判 官     柴   田   憲   史

 

      物件目録(略)

      

      入金目録(略)