岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所  

岡山県北の弁護士 津山総合法律事務所(所長 弁護士黒田 彬)

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岡山弁護士会の決定に対する日本弁護士連合会への異議申出書

 

 

岡山弁護士会の決定に対する日本弁護士連合会への異議申出書

                  

   弁護士黒田彬は,令和元年10月12日,弁護士法人西村綜合法律事務所のイン

  ターネット上の広告について,同弁護士法人及び弁護士西村啓聡・一法師拓也を懲

  戒しない旨の岡山弁護士会の決定に対し,以下のとおり,日本弁護士連合会に異議

  の申出をいたしました。

 

                                               異 議 申 出 書  

 

                           令和元年10月12日

    

    日本弁護士連合会 御中

 

                 異議申出人  黒   田       彬

 

            以下のとおり岡山弁護士会の決定に異議を申出る。

 

〒708-0004 岡山県津山市山北560番地4 ムサシノビル6 階

                        津山総合法律事務所

                 異議申出人  黒   田       彬

    (主たる事務所)

    〒708-0051 岡山県津山市椿高下45番地2

    (従たる事務所)

    〒700-0818 岡山市北区蕃山町3番7号両備蕃山町ビル501

          懲戒を請求する弁護士法人 弁護士法人西村綜合法律事務所

    〒708-0051 岡山県津山市椿高下45番地2

                       弁護士法人西村綜合法律事務所

            懲戒を請求する弁護士  西   村   啓   聡

    〒708-0051 岡山県津山市椿高下45番地2

                                                                    弁護士法人西村綜合法律事務所

            懲戒を請求する弁護士  一 法 師   拓   也

 

懲戒の請求をした日

 

平成31年3月11日

 

岡山弁護士会から懲戒しない旨通知を受けた日

 

令和元年9月26日

 

 岡山弁護士会からの異議申出ができる旨の教示の有無及びその内容

 

  岡山弁護士会からの対象弁護士法人,対象弁護士西村啓聡,対象弁護士

一法師拓也を懲戒しない旨の決定の通知において,「懲戒請求者は,この

決定について不服があるときは,弁護士法第64条の規定により,日本弁

弁護士連合会に異議を申し出ることが出来ます。」という教示を受けた。

 

異議申出の年月日

 

令和元年10月12日

 

異議申出の趣旨

 

 岡山弁護士会の対象弁護士法人,対象弁護士西村啓聡,対象弁護士一法

    一法師拓也を懲戒しない旨の決定の取り消しを求める。

 

異議申出の理由

 

    1   懲戒請求の概要

   異議申出人の対象弁護士法人,対象弁護士西村啓聡,対象弁護士一

      法師拓也(以下,対象弁護士西村及び対象弁護士一法師を「対象弁護

      士ら」という。)についての懲戒請求は,対象弁護士法人が,平成2

      9年8月頃,「津山の弁護士による交通事故・後遺障害相談(弁護士法

      人西村綜合法律事務所)」と題するインターネット上のサイト(以下

      「本件サイト」という。)を開設するにあたり,対象弁護士一法師が

  平成27年2月18日に対象弁護士法人の社員となる以前に東京の弁

      護士法人法律事務所Astiaに勤務弁護士として在籍していた時期に関

      与した4件の事件(以下「4件の事件」という。)を「最新」の「解

      決事例」として表示し,それが,対象弁護士法人が示談交渉を受任し,

      賠償金の増額を実現した最新の解決事例であると誤認させるような表

      示をなしたことを,「弁護士及び弁護士法人の品位を毀損するおそれ

      のある広告」を禁止する岡山弁護士会会則第9条⑷に違反するものと

      して,岡山弁護士会に対し対象弁護士法人及びその所属弁護士である

      対象弁護士らの懲戒処分を請求したものである。

       対象弁護士法人は,本件サイトの開設以前から,「4件の事件」を

      対象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件で

      あると誤認させるような広告をインターネット上で常習的に行ってい

      た(甲3,8)。

       異議申出人が,本件サイトの開設以前の対象弁護士法人の広告につ

      いては問題とせず,本件サイトの対象弁護士法人の広告を悪質なサギ

      広告として岡山弁護士会に対象弁護士法人及び対象弁護士らの懲戒処

      分を請求したのは,対象弁護士法人は,本件サイト以前の広告におい

      ては,「4件の事件」を「当事務所所属の弁護士による成功事例」とし

      て表示することにより,対象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金

      の増額を実現した事件として表示することは巧妙に避けていたのに対

      し,本件サイトの広告においては,明らかに「4件の事件」を対象弁護

      士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示

      しているものと判断されたからである。

       異議申出人は,本件サイトにおける対象弁護士法人の広告を「4件

      の事件」を対象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現

      した事件として表示しているものと判断した理由について,令和元年

      7月16日付の岡山弁護士会綱紀委員会からの照会書に対する回答書

      において以下のとおり主張している。

 

         対象弁護士らは,本件サイトの開設以前から,対象弁護士一法

        師が対象弁護士法人の社員となる以前に東京の弁護士法人法律事

        務Astiaに勤務弁護士として在籍していた時期に関与した「4件

        の事件」を,対象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額

        を実現した事件であるかのように誤認させる広告をインターネッ

        ト上で常習的に行っていたが,本件サイトの開設以前の対象弁護

        士法人の広告は,「4件の事件」を「当事務所所属の弁護士によ

        る成功事例」として表示しており,対象弁護士法人が示談交渉を

        受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示することは巧妙

        に避けていた(資料3,資料8)。

         「当事務所所属の弁護士による成功事例」という表示は,一般

        市民には対象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現

        した事件であるかのように誤認させる表示であったが,「4件の事

        件」が対象弁護士一法師が過去に関与した事件であることは間違い

        ない以上,「当事務所所属の弁護士による成功事例」の表示は,対

        象弁護士一法師の過去の実績を表示したものであって,対象弁護士

        法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表示

        したものではないという弁明は成り立たないものではなかった。

         ところが,本件サイトにおける対象弁護士法人の広告は,トップ

        ページにおいて「岡山県北有数のご相談・解決実績」(資料2の1)

        「大幅な賠償金の増額実績多数」(資料2の2)という表示をなし,

        「4件の事件」を「解決事例」のページ(資料2の3)に表示すると

        ともに,別のページにおいて「解決事例の最新記事」(資料2の4)

        「新着情報」(資料2の5)として表示しているのであるから,「解

        決事例」として表示されている「4件の事件」は,対象弁護士法人

        が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・解決

        実績」を有し,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有するうちの,

        「最新」の「解決事例」を表示しているものとしか解釈できない。

                    本件サイトにおける対象弁護士法人の広告は,「4件の事件」を

    「当事務所所属の弁護士による成功事例」として表示していたそれ

     までの対象弁護士法人の広告とは異なり,明らかにそれを対象弁護

        士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表

        示しているものである。

         対象弁護士らが,それまでの対象弁護士法人の広告においては

        「4件の事件」を対象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増

        額を実現した事件として表示することは巧妙に避けていたにもかか

        わらず,本件サイトにおいてはそれを行ったのは,本件サイトにお

        いて対象弁護士法人が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北

        有数のご相談・解決実績」を有し,「大幅な賠償金の増額実績多

        数」を有するという宣伝を行うためには,「4件の事件」を対象弁護

        士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した「最新」の

        「解決事例」として表示することにより,「大幅な賠償金の増額実

        績」の件数の水増しを行う必要があったからにほかならない。

         懲戒請求者が,本件サイトにおける対象弁護士法人の広告を,

        それまでの対象弁護士法人の広告と比較しても悪質なサギ広告と

        して対象弁護士法人及び対象弁護士らの懲戒を請求した理由は,上

        記の点にある。

                              (同書・3~5頁)

 

       上記の異議申出人の主張には舌足らずの点があり,岡山弁護士会の綱

      紀委員会は異議申出人の主張を正確に理解していないように思われるた

      め,これを敷衍すると以下のとおりである。

      ⑴ 綱紀委員会の議決書が引用するように,弁護士等の業務広告に関

       する規程第13条に基づき,規程の解釈及び運用についての指針を

       定めることを目的として平成24年3月15日理事会決議された

       「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する指

       針」第3の1(弁護士等の品位についての考え方)には,「弁護士

       等の品位保持の目的は,国民の弁護士等に対する信頼を維持するこ

       とにあると考えられることから,品位を損なうおそれのある広告で

       あるか否かは,弁護士の立場から判断するのではなく,広告の受け

       手である国民から見た場合に弁護士等に対する信頼を損なうおそれ

       のある広告であるか否かという視点で判断する」と記載されている。

        本件サイトにおける対象弁護士法人の広告を,「広告の受け手であ

       る国民から見た場合に弁護士等に対する信頼を損なうおそれのある

       広告であるか否かという視点で判断する」うえで重要なことは,イ

       ンターネット上の広告の特質から,本件サイトの「解決事例」のペ

       ージを閲覧する者は,同ページだけを閲覧するということはありえ

       ず,必ずその前にトップページを閲覧していることである。

        すなわち,本件サイトの「解決事例」のぺージを閲覧する者は,

        ① まず,本件サイトのトップページ(甲2の1,2)を開き,

        ② トップページを閲覧して,「解決事例」に関心を持った者は,

         「解決事例」のボタンをクリックして,「解決事例」のページ

         (甲2の3)を開き,

        ③ 「解決事例」のページを閲覧して,特定の事件,例えば,「死

         亡の事案 示談金額450万円増額の例」という事件に関心を持

         った者は,同記事の末尾の「続きを読む。>>」という赤字の箇

         所をクリックして,「死亡の事案 示談金額450万円増額の例」

         のページ(甲2の4)を開く

       という順序を踏むことになる。

        そして,各ページの内容としては,

        ① トップページの上部の目立つ位置に大きな文字で「岡山県北

         有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」と

         いう表示があり,

        ② 「解決事例」のページに7件(サイト開設時には4件)の事件

         が「解決事例」として表示されており,

        ③ 各事件のページの記事の末尾に「解決事例」のページに表示さ

         れている事件のうちの当該事件以外の6件(サイト開設時には3

         件)の事件が「解決事例の最新記事」として表示されている

       のである。

      ⑵ 本件サイトを閲覧する者が,上記の順序で各ページを閲覧した場

       合には,「解決事例」のページに表示されている事件を,当然に,対

       象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件で

       あると考えるはずである。

        「解決事例」のページを閲覧する者は,トップページを閲覧した

       うえで「解決事例」のページを閲覧するのであるから,「解決事例」

       のページには同ページに表示されている事件は対象弁護士法人が示

       談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件であるという表示は

       なくても,トップページに「岡山県北有数のご相談・解決実績」,

       「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示があれば,「解決事例」

       のページに表示されている事件をトップページの「岡山県北有数の

       ご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示

       の具体例を表示したものと考えるのが当然だからである。

      ⑶ 対象弁護士法人は,本件サイトを閲覧する者が,「解決事例」のペ

       ージに表示されている事件をトップページの「岡山県北有数のご相

       談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示の具

       体例を表示したものと考えることを当然に認識していた。

        そのことを証明するのが,対象弁護士法人が「解決事例」のページ

       に表示されている事件を各事件のページにおいて「解決事例の最新

       記事」として表示している事実である。

        そもそも,インターネット上のサイトに掲載されている記事が掲

       載した時点での「最新」のものであることはあたり前のことであって,

       「解決事例」のページに表示されている事件が「解決事例の最新記事」

       であることはわざわざ表示するまでもないことである。

        それでは,対象弁護士法人は,なぜ,「解決事例」のページに表示

       されている事件が「解決事例の最新記事」であることをわざわざ表示

       しているのか。

        それは,本件サイトのトップページの内容と「解決事例」のページ

       の内容との間に齟齬があるからである。 

        本件サイトは,トップページには「岡山県北有数のご相談・解決実

       績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示があるが,「解決

       事例」のページに表示されている事件は7件(サイト開設時には4

       件)にすぎず,その件数は,トップページの「岡山県北有数のご相談・

       解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示の割には決

       して多いものではない。

        「解決事例の最新記事」という表示は,上記のトップページの「岡

       山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」

       という表示と「解決事例」のページに表示されている事件の件数との

       間の齟齬について説明しているものなのであって,「解決事例」のぺ

       ージに表示されている事件は,対象弁護士法人の「岡山県北有数のご

       相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」のすべてを表示

       しているものではなく,そのうちの「最新」のもののみを表示してい

       るものであるというのが,「解決事例の最新記事」という表示の意味

       であると解される。

        「解決事例の最新記事」という表示は,「最新」という語を対象弁

       護士法人の「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の

       増額実績多数」のうちの「最新」のものという意味で理解しなければ,

       対象弁護士法人が,なぜ,「解決事例」のページに表示されている事

       件が「解決事例の最新記事」であることをわざわざ表示しているのか

       を説明できないからである。

    ⑷ 本件サイトのトップページの「岡山県北有数のご相談・解決実績」,

       「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示と「解決事例」のページ

       に表示されている事件の件数との間には齟齬があり,両者の間の齟

       齬について説明しているのが「解決事例の最新記事」という表示で

       あることは上記のとおりであるが,このことは,対象弁護士法人が

       「解決事例」のページに表示している事件を「新着情報」のページ

       (甲2の5)にも重複して記載している点についても同様に妥当す

       る。

        一般には,弁護士のインターネット上のサイトでは,「解決事例」

       のページと「新着情報」のページとは独立しており,「解決事例」の

       ページには当該弁護士が過去に受任し,解決した事件が表示されてい

       るのに対し,「新着情報」のページには最新に当該弁護士が関与し

       た行事等が表示されているのが通常である。

        ところが,対象弁護士法人は,本件サイトにおいて,「解決事例」

       のページに表示されている事件を「新着情報」のページにも重複して

       表示しており,異議申出人の管見の限りで,「解決事例」のページに

       表示されている事件を「新着情報」のページに重複して表示している

       弁護士のサイトは本件サイト以外には存在しないようである。

        対象弁護士法人が,「解決事例」のページに表示されている事件を

       「新着情報」のページに重複して表示している理由は,上記の「解決

       事例の最新記事」という表示と考えあわせれば,トップページの「岡

       山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」

       という表示と「解決事例」のページに表示されている事件の件数との

       間に齟齬があるため,対象弁護士法人としては,「解決事例」のペー

       ジに表示されている事件が,対象弁護士法人の「岡山県北有数のご相

       談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」のすべてを表示し

       ているものではなく,そのうちの「新着情報」のみを表示しているも

       のであるとする必要があったためであると解される。

      ⑸ 以上要するに,

        a  本件サイトの「解決事例」のページを閲覧する者は,トップぺ

         ージを閲覧したうえで「解決事例」のページを閲覧するため,

         「解決事例」のページには同ページに表示されている事件が対

         象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事

         件であるという表示がなくても,トップページに「岡山県北有

         数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」と

         いう表示があれば,「解決事例」のページに表示されている事

         件をトップページの「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大

         幅な賠償金の増額実績多数」という表示の具体例を表示したも

         のと考えるのが当然であり,

        b 対象弁護士法人も,そのことを当然に認識しているがゆえに,

         トップページの「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅

         な賠償金の増額実績多数」という表示と「解決事例」のページ

         に表示されている事件の件数との間の齟齬について説明するた

         めに,「解決事例」のページに表示されている事件を「解決事例

         の最新記事」,「新着情報」として表示し,それが,対象弁護

         士法人の「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償

         金の増額実績多数」のすべてを表示しているものではなく,そ

         のうちの「最新」のもののみを表示しているものであるとして

         いる

       のである。

        対象弁護士法人によれば,本件サイトの「解決事例」のページに

       表示されている事件は,対象弁護士法人の「岡山県北有数のご相談・

       決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」のうちの,「解決事例

       の最新記事」,「新着情報」を表示しているものであるから,対象

       弁護士法人が「4件の事件」を「解決事例」のページに表示してい

       ることは,それを,対象弁護士法人が示談交渉を受任し,賠償金の

       増額を実現した事件として表示しているものであることは明らかで

       ある。

     2 綱紀委員会の議決の不当性

       岡山弁護士会は,令和元年9月25日,異議申出人の対象弁護士法

      人及び対象弁護士らの懲戒請求について懲戒委員会に事案の審査を求

      めないことを相当とする旨の綱紀委員会の議決に基づき,対象弁護士

      法人及び対象弁護士らを懲戒しない旨の決定をなし,同年9月26日,

      異議申出人は同決定を受領した。

       綱紀委員会の議決書によれば,綱紀委員会が対象弁護士法人及び対

      象弁護士らを懲戒委員会の審査に付さないことを相当とする理由は,

      以下のとおりである。

 

         前記認定事実によると,「解決事例」,「新着情報」の各ペー

        ジは,上部に大き目の活字で「岡山県北の弁護士による交通事故・

        後遺障害相談」の記載,その下に小さ目の活字で対象弁護士法人

        の名称・住所等の記載で統一されており,画面上,対象弁護士法

        人が取り扱った交通事故・後遺障害相談との限定はされていない。 

        本件で問題となっている交通事故4件は,対象弁護士一法師が対

        象弁護士法人とは異なる法律事務所在籍時に取り扱った案件であ

        るが,対象弁護士法人の処理案件として表示したものとはいえな

        い。また,対象弁護士一法師が実際に取り扱っている以上,対象

        弁護士法人所属弁護士が取り扱っていない事件を表示したことに

        もならないから,前記規程第3条第1号に違反するものとはいえ

        ない。

         次に,本件サイトのトップページ上,対象弁護士法人取り扱い交

        通後遺障害相談との記載はなく,「岡山県北の弁護士による交通事

        故・後遺障害相談」と記載され,その下の「岡山県北有数のご相談・

        解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」の各表示が入れ替わ

        る部分のうち,「岡山県北有数のご相談・解決実勢」の記載の右側

        に対象弁護士法人所属弁護士4名の写真が掲載されていることか

        らすれば,市民が本件サイトを閲覧した場合,対象弁護士法人に所

        属しない弁護士による相談・解決事例が掲載されていればともかく,

        所属弁護士による相談・解決事例が掲載されているのであれば記載

        と事実に齟齬はなく,その信頼を損なうおそれがあるとはいえない。

        そして,本件で問題となっている交通事故4件は対象弁護士一法師

        が取り扱った事件であるから,前記規程第3条第2号に違反するも

        のとはいえない。

         したがって,対象弁護士法人及び対象弁護士らによる本件サイト

        における前記表示が岡山弁護士会規則第9条⑷「弁護士及び弁護士

        法人の品位を毀損するおそれのある広告」に違反するとの懲戒請求

        者の主張には理由がない。

                             (同書・4~5頁)

 

       上記綱紀委員会の判断は、「解決事例」や「新着情報」のページに

      「画面上,対象弁護士法人が取り扱った交通事故・後遺障害相談との

      限定は付されていない」ことを理由に,「対象弁護士法人の処理案件

      として表示したものとはいえない」とするものであるが,それは,弁 

      護士等の広告が弁護士等の品位を損なうおそれのそれのある広告であ

      るか否かは,弁護士等の立場から判断するのではなく,「広告の受け手

      である国民から見た場合に弁護士等に対する信頼を損なうおそれのあ

      る広告であるか否かという視点で判断する」という,前記「弁護士及

      び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する指針」の趣旨を

      没却しているものといわざるをえない。

       なぜなら,上記綱紀委員会の判断は,「解決事例」や「新着情報」の

      ぺージを閲覧する者は,当該ページだけを閲覧するということはあり

      えず,必ずその前にトップページを閲覧しているという,インターネ

      ット上の広告の特質を完全に無視しているからである。

       「解決事例」や「新着情報」のページを閲覧する者は,トップページ

      を閲覧したうえで「解決事例」や「新着情報」のページを閲覧するので

      あるから,「解決事例」や「新着情報」のページに「画面上,対象弁護

      士法人が取り扱った交通事故・後遺障害相談との限定は付されていな

      い」としても,トップページに「岡山県北有数のご相談・解決実績」,

      「大幅な賠償金の増額実績多数」という表示があれば,「解決事例」や

      「新着情報」のページに表示されている事件をトップページの「岡山

      県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」とい

      う表示の具体例を表示したものと考えるのが当然であり,「「岡山県北

      有数のご相談・解決実績」の記載の右側に対象弁護士法人所属弁護士

      4名の写真が掲載されている」からといって,「岡山県北有数のご相

      談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有する対象弁護士

      法人が,対象弁護士法人の所属弁護士が対象弁護士法人に所属する以

      前に関与した事件を,「解決事例」や「新着情報」のページに表示して

      いると考える人間はいないと考える。

       弁護士会の綱紀委員会ともあろうものが,どうして,上記のような

      インターネット上の広告の特質を完全に無視した非常識な判断をして

      まで,対象弁護士法人の悪質なサギ広告を擁護しなければならないの

      か,まったく理解に苦しむものである。

     3 対象弁護士法人の弁明

       岡山弁護士会綱紀委員会の議決は,対象弁護士法人が「4件の事件」

      を本件サイトの「解決事例」のページに表示したことを,「対象弁護

      士法人の処理案件として表示したものとはいえない」とするものであ

      るが,対象弁護士法人が「4件の事件」を本件サイトの「解決事例」

      のページに表示したのが,「対象弁護士法人の処理案件として表示し

      たもの」であることは,対象弁護士法人が認めていることである。

       対象弁護士法人の弁明は,「上記4件の交通事故は,対象弁護士一

      法師が法律事務所Astia在籍時に主任として関与した事件であり,

      虚偽の交通事故事件を捏造したものではない。対象弁護士法人に所属

      している弁護士が過去に解決した事例を対象弁護士法人の解決事例と

      することは,実質的に見て閲覧者を誤導又は誤認するものではない。」

      (議決書2頁)というものである。

       対象弁護士法人は,上記のように,「4件の事件」を本件サイトの 

      「解決事例」のページに「対象弁護士法人の解決事例」として表示した

      事実は認めており,ただ,それが対象弁護士一法師が実際に過去に解

      決した事件であるがゆえに,「実質的に見て閲覧者を誤導又は誤認さ

      せるものではない」というのが対象弁護士法人の弁明なのである。

       しかし,異議申出人が,対象弁護士法人が「4件の事件」を本件サイ

      トの「解決事例」ページに表示し,対象弁護士法人が示談交渉を受任

      し,賠償金の増額を実現した事件として表示したことを,悪質なサギ

      広告とする理由は,それが,対象弁護士法人が,本件サイトにおいて,

      「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」

      という宣伝を行うための,「解決事例」の件数の水増しという不当な目

      的のための手段として行っているものだったからである。

       上記の点についての前記回答書における異議申出人の主張を敷衍す

      れば,以下のとおりである。

      ⑴ 本懲戒請求時,本件サイトの「解決事例」のページには,以下の7

       件の事件が表示されていた。

 

        ① 任意自動車保険未加入であったものの,治療費や慰謝料の受取

         に成功した事例

        ② 右足首骨折で示談金額750万円を受け取った事例

        ③ 後遺障害14級9号認定を獲得し,示談金額が160万円増

         額した事例

        ④ 後遺障害併合11級認定を獲得し,示談金額990万円増額

         した事例

        ⑤ 後遺証の事案 認定等級12級3号の例

        ⑥ 死亡事故:約3か月間の短期間交渉で約3300万円で相手

         方保険会社と和解した事例

        ⑦ 死亡の事案 示談金額450万円増額の事例

       

        上記7件の事件のうち,平成29年8月頃の本件サイトの開設時

       に「解決事例」のページに表示されていたのは①ないし④の「4件

       の事件」のみであり,⑤⑥は平成29年10月23日に,⑦は平成

       30年1月29日に「解決事例」のページに追加されたものである。

      ⑵ 別紙解決事例一覧表は,対象弁護士らからの異議申出人に対する

       仮処分命令申立事件(甲9,10)に対象弁護士らから証拠として提

       出された資料(綱紀委員会の手続に乙第9号証の1ないし27及び

       乙第10号証の①ないし47として提出されているものと同一のも

       のと思われる。)に基づき,対象弁護士法人が交通事故の示談交渉を

       受任した事件を整理したものである。

        これによれば,対象弁護士法人は,本件サイトの開設と前後して

       ⑤ないし⑦の事件を解決しているが,⑤ないし⑦の事件について対

       象弁護士法人が賠償金の増額を実現した金額は,それまでに対象弁

       護士法人が受任した事件と比較して著しく多額のものであったこと

       が認められる。

        したがって,対象弁護士法人が,平成29年8月頃,対象弁護士

       法人が,交通事故の示談交渉について,「岡山県北有数のご相談・

       解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」を有すると宣伝する

       本件サイトを開設したのは,⑤ないし⑦の事件を受任したことを契

       機とするものであって,本件サイトは,当初から,⑤ないし⑦の事

       件を対象弁護士法人の「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大

       幅な賠償金の増額実績多数」の具体例として宣伝することを予定し

       て開設されたものであると解される。

      ⑶ しかし,対象弁護士法人が,本件サイトにおいて,「岡山県北有

       数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」という

       宣伝を行うには障害があった。

        別紙解決事例一覧表から明らかなように,対象弁護士法人には⑤

       ないし⑦の事件以前にも,賠償金の増額を実現した事件は存在した     

       が,その金額は⑤ないし⑦の事件に比較すれば著しく少額であり,

       対象弁護士法人には,本件サイトの開設の時点では,⑤ないし⑦の

       事件とともに「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償

       金の増額実績多数」の具体例として「解決事例」のページに表示す

       るのにふさわしい事件は存在しなかったからである。

      ⑷ 対象弁護士法人が,本件サイトを開設するにあたり,トップペー

       ジの「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額

       実績多数」という表示と「解決事例」のページに表示する事件の件

       数との間の齟齬という問題を解決するために企図したのが,前記の

       ように,「解決事例」のページに表示されている事件を「解決事例

       の最新記事」,「新着情報」として表示することにより,「解決事

       例」のページに表示されている事件は,対象弁護士法人の「岡山県

       北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」の

       すべてを表示しているものではなく,そのうちの「最新」のものの

       みを表示しているものであるとすることであった。

      ⑸ しかし,「解決事例」のページに表示されている事件を,「解決事

       例の最新記事」,「新着情報」とすることにより,それが,対象弁護

       士法人の「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増

       額実績多数」のすべてを表示しているものではなく,そのうちの「最

       新」のもののみを表示しているものであるとするとしても,「解決事

       例」のページに表示する事件が⑤ないし⑦の事件のみでは,将来「解

       決事例」の件数が増加するとしても,さしあたっては、「解決事例」

       の絶対数が不足であることは明らかであった。

        そのため,対象弁護士法人が企図したのが,対象弁護士一法師が

       対象弁護士法人の社員となる以前に東京の弁護士法人法律事務所A

       stiaに勤務弁護士として在籍していた時期に関与した「4件の事件」

       を「解決事例」のページに表示することにより,「解決事例」の件

         数の水増しを行うことであった。

          対象弁護士法人は,「4件の事件」を「解決事例」のページに表

        示することによって,7件の事件(本件サイトの開設時には4件の

        事件)を「解決事例」のページに表示することが可能となり,トッ

       プぺージの「岡山県北有数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金

        の増額実績多数」という表示と「解決事例」のページに表示されて

        いる事件の件数との間の齟齬という問題をかろうじて解決すること

        ができたのである。

       ⑹ 対象弁護士法人によれば,本件サイトの「解決事例」のページに

        表示されている事件は,対象弁護士法人の「岡山県北有数のご相談・

        解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」のうちの「解決事例

        の最新記事」,「新着情報」を表示したものである。

         そのため,対象弁護士法人は,「4件の事件」を「解決事例」のぺ

        ージに表示するためには,本件サイトの開設から2年半以上も前の

       対象弁護士一法師が東京の弁護士法人法律事務所Astiaに勤務弁護

       士として在籍していた時期に関与した「4件の事件」を「解決事例

       の最新記事」,「新着情報」として表示するという虚偽の表示を

       行わなければならなかった。

        対象弁護士法人が,本件サイトの開設以前には「4件の事件」を

       「当事務所所属の弁護士による成功事例」として表示し,対象弁護

       士法人が示談交渉を受任し,賠償金の増額を実現した事件として表

       示することは巧妙に避けていたにもかかわらず,本件サイトにおい

       ては,本件サイトの開設より2年半以上も前の対象弁護士一法師が

       東京の弁護士法人法律事務所Astiaに勤務弁護士として在籍してい

       た時期に関与した「4件の事件」を「解決事例の最新記事」,「新着

       情報」として表示するという虚偽の表示をしてまで,「4件の事件」

       を「解決事例」のページに表示し,対象弁護士法人が示談交渉を受

       任し,賠償金の増額を実現した事件として表示しなければならなか

       ったのは,対象弁護士法人が,本件サイトにおいて,「岡山県北有

       数のご相談・解決実績」,「大幅な賠償金の増額実績多数」という宣

       伝を行うためには,上記のように,「4件の事件」を「解決事例」の

       ページに表示することにより,「解決事例」の件数の水増しを行う

       ことが必要であったからにほかならない。

                                 以 上